名前:塩原 肇
            職名:助教授
            所属:海半球観測研究センター
            専門:海底地震学
 
 
 
 
 


研究内容

現私の研究は海底地震計(OBS)の開発に根ざしており、それによって陸上観測からだけでは 知ることの出来ない海洋下の地球内部構造を明らかにすることを目的としている。そのためには 共同研究による海洋での観測が必須であるため、 海域地震学・海底固体地球物理学関係の研究者グループを作って研究を進めている。 私個人での現在の研究テーマは、 (1)長期・広帯域OBSの開発、 (2)そのOBSを用いたフィリピン海プレート下の詳細なマントル構造の解明、 (3)通常型OBSによる地殻構造・微小地震活動・余震分布などの調査、等である。

(1)と(2)
地球の歴史をより良く知るためには、地球全体の内部構造を プレートテクトニクス・プリュームテクトニクスの視点から調査する必要がある。 地球表面の70%は海洋であるため、西太平洋域では陸上観測のみで海洋下の微細マントル構造を 得ることは困難であった。また、地球深部へ伝わる信号として多くの大きな地震を捉えるには 長期間の広帯域観測が必要である。長期・広帯域OBSはこの目的に設計されており、現在実際の観測を行いながら記録品質の向上を 目指している。また、稍広帯域のセンサーによる15台のOBSを用いたフィリピン海を横断する 超長基線の観測を1999/12に開始し、沈み込んだ太平洋プレートのスラブの詳細な形状を 求めようとしている。
 

(3)
我々のグループでは日本での標準的OBSを開発してきており、海域での機動的地震観測による 研究を進めてきた。その領域は全世界に渡り、外国の研究者との共同研究も多い。 現時点での私の中心的テーマは、1998/5/4に石垣島南方のフィリピン海プレート内で起きた 地震に関してであり、OBSによる余震観測で断層面や地形と地震の対応が明確になった。
 

主要論文・著書

S. Ito, R. Hino, S. Matsumoto, H. Shiobara, H. Shimamura, T. Kanazawa, T. Sato, J. Kasahara, and A. Hasegawa, Deep seismic structure of the seismogenic plate boundary in the off-Sanriku region, northeastern Japan, Tectonophysics, 319, 261--274, 2000.

R. Hino, S. Ito, H. Shiobara, H. Shimamura, T. Sato, T. Kanazawa, J. Kasahara and A. Hasegawa, Aftershock distribution of the 1994 Sanriku-oki earthquake (Mw 7.7) revealed by ocean bottom seismographic observation, J. Geophys. Res., 105, 21697--21710, 2000.

上村彩・笠原順三・日野亮太・篠原雅尚・塩原肇・金澤敏彦, プレート沈み込みにおける水の意義と伊豆・小笠原海溝のserpentineダイアピルを横切る速度構造, 地学雑誌, 109, 4, 506--516, 2000.

M. Mochizuki, B. Brandsdottir, H. Shiobara, G. Gudmundsson, R. Stefansson, and H. Shimamura, Detailed distribution of microearthquakes along the northern Reykjanes Ridge, off SW-Iceland, Geophys. Res. Lett., 27, 1945--1948, 2000.