マグマ噴出の脈動メカニズム

(主にWhiteheadらの研究による)

 マグマが地表に噴出する際,その噴出量は必ずしも一定なく,時間と共に変動します.最も重要な時間変動は,言うま でもなく噴火の開始と終結です.なぜ,マグマの噴出には,このような「始め」と「終わり」があるのでしょうか?一つ の可能性として,以下の実験でしめすような,マグマの「孤立波」というメカニズムが考えられます.

 何度もマグマが通過するようなマグマが上昇する通路「火道」は,温められて柔らかくなり,固体と液体の中間の性質 を持っています.このような物質の中に液体のマグマが上昇すると,マグマの量が多い部分がちょうど「こぶ」のような 形を保って上昇する現象がみられます.これを孤立波と呼びます.この「孤立波」が地表に達したときが噴火です.

 この「孤立波」は,名前からもわかるように,波の一種で,物理的に大変おもしろい性質をもっています.たとえば速 度のちがう2つの「孤立波」が追突現象をおこすと,後ろからきた高速度の「孤立波」が前の「孤立波」を追い越してしま います(図1).波の進行方向が違う場合にはすれちがうという現象もみられます.

Figure 15. Sequence of photographs at equal time intervals showing the transfer of trapped fluid during wave interaction. The initially small lead wave and the conduit consist of undyed fluid and are not easily visible in photographs. The arrows give the location of the lead wave in the first two frames. The trailing wave contains a parcel of dyed fluid.

孤立波内部の動き

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