我々の究極の目標は,自然現象を理解することです.我々は「複雑な自然現象の裏には単純明快な数理的な構造が隠れているに違いない」という信念をもって,自然現象を大胆に単純化,抽象化し,さらに数理的なモデル化をして研究を進めています.
具体的には,主に以下の2つの観点から理論的なアプローチをすすめています.
第一に,野外で観測された現象と実験室で再現された現象というスケールのちがう現象を結び付けることです.スケールの違う現象から共通した法則性を見いだすためには理論的な考察や数値計算が不可欠です.いわば,数値計算は模型実験でみられる現象と野外観測の現象を結びつける掛け橋と言えます.
第二に,コンピュータの中に模型を作って実験をするという感覚でも,数値計算(数値実験)をおこないます.実際に組み立てることが難しい模型や測定が難しい量でもコンピュータの中では簡単につくれたり測定できたりする場合があります.この場合,計算結果から何か面白い「現象」を発見することが大きな目標となります.
数値実験モデルの研究は,研究グループの新しい方向性として,ポスドク*の研究者を中心として特に力を入れている研究手法です.