火山形成と火山活動の時空分布

火山の中には富士山のような円錐形をした火山から阿蘇のようなカルデラを作るものまで様々なタイプがあります.火山の大きさをみても,高さ3000メートル以上に及ぶ富士山から,精々数百メートルに満たない小さな火山まであります.そういった意味で個々の火山は「個性的」です.一方,マグマの発生から上昇,噴火に至るまでの現象は普遍的な物理法則にのっとっており,その意味で火山活動はなんらかの規則性を持っているとも言えます.

個々の火山体の特徴は数万年から数十万年の間におこった様々な規模の噴火が繰り返しおこった結果を反映しています.噴火の規模,一回一回の噴火の推移,噴出場所,噴火の間隔など「火山活動の時空分布」という観点から,これらの火山の個性や火山活動の規則性を整理することができるかもしれません.


火山の分布は何できまるのか?

「火山帯」など火山の一見整然とした空間的分布はマントルにおけるマグマの発生のメカニズム,マグマの発生に関わる化学反応,マントルの運動にある「規則性」を反映している可能性があります.


火山の寿命や規模は?

たとえば日本の火山に注目してみると平均的には数十万年の寿命,数十万km3の大きさを持っていることが知られています.このような特徴的な寿命や規模は世界各地の火山帯によって異なりますが,何がそれを決定しているのかというメカニズムについてはわかっていません.


噴火の推移は?

マグマが最終的に地表に達する上昇運動が噴火の推移にもっとも直接的に関連する過程です.マグマの性質やわずかな地質条件の違いで,マグマの上昇運動の様式が大きく変化することが様々なタイプの噴火を産み出す原因となっています.

マグマの上昇については既にいくつかのモデルがあるのですが,観測結果との比較は十分ではありません.噴火は希にしかおこらない現象なので,噴火の推移に関する詳細な科学データが数少なく,統計的な処理もできません.今後,噴火がおこったときに徹底的に観測して噴火の推移に関する多くのデータを蓄積することがモデルの改善にとって大変に重要です.


個々の噴火の規模と頻度の関係は?

一般的に大規模な噴火ほど希にしかおこらないということが経験的に知られています.しかし,噴火の規模と頻度を関係づける物理モデルは未だにありません.


研究グループの問題意識

火山や噴火の時空分布はマグマの性質と密接な関係があることはある程度わかっています.しかし,時空分布について総合的にモデル化するためには,時間と火山活動の関係(時系列)や火山の空間的分布の規則性について十分にデータが整理されていないのが現状です.現在のところモデルを立てる以前に,実際におこっている現象を知ることを目標としてデータを整理をしています.

 

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