7月13日山頂付近噴出物調査(中田,川辺,嶋野,長井,秋政)
・7月8日陥没事件のメカニズムを解明するため,山頂付近の火山灰堆積状況を調査し
た.
・登山前,途中は気象庁現業と逐一連絡を取合いながら実施.鉢巻道路に学生を連絡
委員としておき,トランシーバーと携帯で現業―学生―調査団と連絡を取合う.霧気
味で視程が悪いが,地震と傾斜変動にとくに変化が出ていないとのことなので調査を
実行.
・午前8時鉢巻道路から登山開始.カルデラ東縁の近づくと草が斜面の下流側になびい
ており,小枝や葉が噴石で落とされている.
・9時45分NHK中継塔到着.鉄柱には火山灰が火口側にべっとり吹付けている.アンテ
ナの一部が破損し落下している.雄山東側の尾根では,噴石50cm程度が多く見つかる
.火口側尾根では木々が枝を払われているが,火山灰の厚さは20cm程度と薄い.堆積
物に上下の変化は見られない.
・11時頃まで雄山東尾根を調査し下山.
・噴出物は1回のイベントで噴出したものと考えられる.また,噴出物量は極めて少な
いと予想される(百万立方メーター程度).噴石は方向から判断すると陥没したリン
グから飛び出した可能性が考えられる.


7月14日
・14日火山灰の降灰調査.
・午前5時過ぎから噴煙と降灰が認められたので調査を開始.
・三池南で噴煙活動を観察.
・笹井・中田のグループは合流して,学生2名を三池南に残し,山頂駐車場付近の調査
に向かう.
・山頂部は霧で見通しが悪い.学生を携帯電話が通る場所に待機させ,トランシーバ
ーを持ち笹井・中田・川辺・ジルコニスキーで山頂駐車場へ向かう.7時20分前後,火
口へ近づこうとするが火山灰が火口側から吹付け,硫化水素臭がするため接近を断念
.新たな噴石は付近に見られない.ゴロゴロドタドタと崩落の続く音がこれまでより
近くに聞こえる.
・下山後,三池隊と合流し噴煙を観測.三池に自主避難が出される.灰の中を「すず
らん」へ向かう.
・朝食後,中田・川辺は支庁へ向かいこれまで情報提供と泥流発生などの可能性を指
摘した.
・「すずらん」への降灰が激しいので,拠点を阿古地区に移すこととし,支庁に紹介
を頼む.支庁からは旅館「ほまれ」を紹介してもらうとともに,ジープ一台の使用を
提供された.
・午後,「すずらん」待機中の学生と合流し,荷物をまとめて新拠点に移動.途中,
神津島から漁船で到着した坂上らにレンタカー一台を渡す.
・嶋野,火山灰のサンプルを持ち東海汽船で離島.
・午後2時半頃から川辺,長井,秋政は降灰調査を再開.
・中田,村役場で村長と総務課長などに現状を説明後,降灰調査に合流.4時前から
噴煙活動が活発化.
・4時半頃の降灰を水洗い後ルーペで観察するが本質物質は見つからない.
・予知連に降灰結果と火山灰の観察結果を支庁経由で報告.
・神着の一部に避難勧告が出される.
・中田・川辺,気象庁用意のヘリフライトのため,避難勧告地域を避けて反時計回り
で空港へ向かうが,フライトはキャンセル.その後,噴煙を空港で観察.
・「ほまれ」宿泊者14名.携帯連絡可能.