7月19日
三宅島変色海域海底調査(第2弾)
(中田・長井・下司・白尾)
 大鼻の西1.2km地点.前回(7月4日)の場所のわずか西.水路部のサイドスキャナ
ーで発見した火口地形に,三井造船ROV(前回と同じ)で潜航.噴出物によってできた
と思われる火砕丘を確認.3つ配列する火口地形のうち,主に真中の火口で調査し,
東側の火口にいったん入りもどるところで,ROVが岩にはさまれて身動きが取れなくな
った.この日はROVをいったん海底に放棄せざるをえなくなった.中央の火砕丘で「れ
き」のサンプリングを行った(50g程度).また,採水も行ったが,ROVとともにまだ
海底にある.
 火砕丘は直径10から20mのほぼ円形で,周囲より5m程度高くなっており,中央
部はリムから2m程度低くなっている.火砕丘は「れき」からなりところどころに溶岩
ブロックが点在する.中央部付近に熱水変質のある玄武岩ブロックが存在し,そこか
ら湧水が認められ,白いひらひらした沈殿物(?)が浮遊していた.
 玄武岩れきは比較的新鮮な溶岩であるが,一種類であり角がとれ円磨している.熱
水変質と思われ「れき」は含まれていなかった.「れき」が本質物質でないとは断言
できない.今後の解析が必要.いずれにしても地下からのものが噴き出したために(
海底噴火で)できた地形であることは間違いないようだ.
 調査の概要については村役場に事前に連絡し,事後報告を行った.調査の内容と結
果はスポンサーであるフジテレビで公開される予定.

 中野・万年は山頂付近の調査を行った.ビデオ画像によると,山頂駐車場は噴石で
まんべんなく厚く覆われ,登山道,道路,樹木地帯の区別ができなくなっている.大
きいもので1.5m径程度.駐車場にあるトイレの壁だけがかろうじて残っている.電磁
気観測用の青ケーブルが噴石で断ちぎられている.下のヘアピンにあるGPS観測点付近
まで噴石が多く飛来している.車ではここまでも達することができないらしい.
 火口縁を遠望した画像からは陥没火口東縁をマントルベディングしている今回の噴
出物は厚さ10mを越えると推定される.陥没火口ではしょっちゅう崩落が起き,土煙が
上がって,陥没火口内はもやっている.陥没火口への接近は極めて危険である.

19日旅館ほまれ宿泊者:
地質グループ 中田,長井,下司,中野(地調),万年(温地研),田村(日大)

20日朝,及川,大湊,鬼沢到着.東海汽船は夏休みの客でかなり混んでいる.