東京大学地震研究所

2008年四川地震 現地からのレポート

[Update 2008.05.20]



このページでは、現地調査にいち早く向かわれた、静岡大学林愛明教授の報告を取り上げてまいります。

林教授は地震発生2日後の14日に、震源域の調査のため現地に向かわれました。このレポートは、活断層や地震関係者と少しでも情報を共有しようとのご配慮から、林先生が活断層学会のメーリングリストに送信してくださっているものです。ご本人の了承のもと、地震研究所のHPにて情報発信させて頂いています。


5月21日(水)

現地調査速報(2):
メールを出す時間がほとんどありませんので、調査の進展は簡単にご報告します。 現在までに確認できた地表地震断層の長さは250キロ以上に達します。また、縦方向変位量は最大で約5mです。地震断層の南部セグメントにおいてほとんど逆断層であるが、北部セグメントでは局部的に若干の右ずれを伴っています。地震断層沿いに、特に北部セグメントにおいて、余震による地すべりが頻繁に起きていますので、二次災害が発生しています。それは救援活動に大きいな支障になっています。調査中においても、地すべりの発生様子を観察することができます。

5月17日(土)

現地調査速報(1):
これまでの調査の結果、断層南部セグメント約100キロ長い地表地震断層 を確認することができました。北部セグメントについてはさらに約200キロ の地表地震断層も確実のようで、あわせて約270−320キロの長さになり ます。地表地震断層は予想したとおりに基本的に既存の竜門山逆断層帯沿いに 現れています。地表地震断層は北東走向、北西傾斜で、竜門山活断層の断層崖 にそっています。変位センスはほぼ純粋な逆断層で、縦方向の変位量はこれま でに最大約3mです。30゜の傾斜で計算しますと、ネットスリップは6mになります。