最近の成果

ここでは、最近の研究成果をイラストとともに紹介しています。 より詳しい研究成果や報告書、過去の計画の成果などはこちらをご覧下さい

平成29年度の成果

これらの図は下記の報告書に掲載されているものです。

草津白根山(本白根山)鏡池北火口からの噴火前後の傾斜変動
2018 年1月23 日10 時02 分に本白根山鏡池北火口からの噴火が発生し,新火口列を生じると共に人的な被害が発生した。湯釜火口周辺5 カ所に設置された傾斜計では,噴火の2 分ほど前から湯釜南方が隆起する傾斜変動が観測され,噴火時刻の10:02:10 に収縮に転じた。新火口列から1.1 km のレストハウス付近に設置した地震計には隆起と共に発生した地震が捉えられた。また,空振計では噴火とともに発生した空振による顕著な高周波振動が10:02:13 頃から記録された。観測された傾斜を説明する力源の最適解は,新火口列直下の海抜1000 m(地表面下1000 m)に位置する鉛直クラックが約2 分間で42.5 万m3膨張し,その後約8 分間で30 万m3収縮したことを示した。右下の図には,観測された傾斜と計算された傾斜の方向を示す矢印に加え,地面の上下変動を示す等値線(計算値),湯釜か ら本白根にかけて発生する地震の震源分布を示す。また,平面図の赤線と震源分布の南北断面図中の赤四角は鉛直クラックの投影を示す。

航空機SAR によって捉えられた硫黄山付近の地殻変動
人工衛星を用いた干渉解析手法であるInSAR 解析を航空機SAR に応用するための手法開発を進めている。衛星と異なり,航空機の場合は風などの影響により飛行軌跡を均一に保つことは難しいため,独特の解析手法の開発が不可欠である。今年度までに手法の開発・改良が進み良好な解析結果が得られるようになったことから,火山活動が高まっている霧島の硫黄山で得たデータを用いて,2014 年から2016 年の変化と,2016 年から2017 年の変化を解析したところ,両期間ともに硫黄山付近の膨張を示す地殻変動が明瞭に検出された。航空機SAR は人工衛星による観測と比較して多方向からの観 測が容易であることを利用し,将来的には地殻変動を3 次元的に捉えることを目指している。

最近の新燃岳の活動
新燃岳では,2017 年2 月以降マグマ溜まりの膨張が再び始まり,2017 年10 月11 日に噴火が発生した。噴火の2 日前には,火口直下浅部への流体移動を示す傾斜変動が観測されている。マグマ溜まり は2017 年10 月の噴火直後にわずかに収縮したが,すぐに膨張を再開し,小規模噴火が10 月17 日まで断続的に発生した。3 月1 日からは爆発的な噴火活動が始まり,3 月9 日には火口内へ流出した溶岩が火口北西方向に溢れた。溶岩流出に伴い,3 月6 日から7 日にかけてマグマ溜まりは一旦収縮したが,再び膨張に転じた。
図の一番下には,火口下の微動源の位置を期間毎に色分けして示している。火口直下海抜ゼロメートル付近で発生する微動は,2017 年10 月11 日の噴火後振幅が次第に増加し,発生位置は火口北西の海抜‐1.5 ㎞から新燃岳直下浅部の間で何度か移動した。2018 年3 月1 日噴火以降の微動震源は,溶岩が噴出した火口の北東縁直下に移動した。爆発的噴火が増えた2018 年3 月10 日以降,微動振幅は2017 年10 月の噴火前の水準に戻った。
2018 年3 月中は噴煙中の高さが3000 m を超える噴火が頻発し,4 月以降も月に1 回程度の割合で噴火が発生している。

南海トラフ沿いで発生する地震のb値の空間分布
1944 年東南海地震と1946 年南海地震の震源域(点線で囲んだ領域)で発生した地震の規模別頻度分布を右下に示す。

南海トラフ近傍(熊野灘)の坑内観測システム(C0002 およびC0010 観測点)で計測された,海溝軸近傍で繰り返し起こる「ゆっくり滑り」に伴う間隙水圧の変動イベント
下図には,ゆっくり滑りに伴う間隙水圧の変化の大きさと,その変化がプレート境界での滑りであると仮定した場合の各イベントの滑り量の推定を示した。2016 年4月1日に発生した三重県南東沖の地震(M6.5)後に続発した,浅部超低周波地震の活動に連動した大きな滑りが観測されている。図中には,一例として2014 年3月のゆっくり滑りに伴う両観測点の間隙水圧の変化を示した。
*印:2015 年10 月のイベントではC0010 観測点ではその期間中に圧縮とそれに続く膨張が計測された。

2016 年4 月1 日三重県南東沖の地震(M6.5)の強震動生成域
海域及び陸域の地震観測点(左図)での強震波形記録を併用して求めた強震動生成域(右図)。4.5 km四方の強震動生成域に対して,浅い側(海溝軸側)から深い側(陸側)に向かう北向きに伝播する破壊様式が推定された。この域内での応力降下の値は22 MPa であった。左図中の桃色のコンターは,Kikuchi et al. (2003)による1944 年東南海地震の滑り分布(0.5m 間隔)。

地震発生シミュレーションにより検討した,2016 年三重県南東沖の地震による南海トラフ巨大地震への影響。白色、緑色、赤色となるにつれ、プレート境界での滑りが大きいことを示す。
左図(ケース1):三重県南東沖の地震を模した地震によって余効滑りが浅部にのみ発生した後,再固着するケース。
右図(ケース2):三重県南東沖の地震を模した地震によって余効滑りが浅部・深部ともに発生し,巨大地震につながるケース。

地震リスク評価およびその不確かさに関する検討の概要図
南海トラフ巨大地震による地震リスク評価の全体研究の結果から,各項目のばらつきが被害予測のばらつきに与える影響評価を行った。影響が大きい項目に関わる研究課題を深掘りして推進し,その結果に基づきリスク評価の高度化を行っていく。

日記史料に基づく巨大地震後の有感地震の記録日数の推移
日記史料には地震の被害だけでなく,日々の有感地震についても詳細に記録されている。西南日本で記された複数の日記史料からは,安政元年(1854 年)11 月5 日の南海地震の本震以降,頻発する有感地震を記録した日数の推移がわかる。グラフは,安政元年(1854 年)11 月から安政2 年(1855 年)12月末までの期間について,有感地震の記録日数を月ごとに示したものである。グラフより,西南日本では9 月から再び有感地震の増加している状況がわかる。

2011 年東北地方太平洋沖地震の余効変動
上段:2015 年1 月から2017 年12 月までの平均変位速度。黄星印は東北地方太平洋沖地震の震央。
下段:時系列の例。黒および赤の矢印で速度を示した観測点でのもので,東向きの動きが正。青線は東北地方太平洋沖地震が発生した2011 年3 月11 日。グレーの網掛けをした期間(2015 年1 月~2017 年12 月)のデータから平均変位速度を求めている。海底基準点の赤点線は観測データ(●)から求めた近似曲線。

2016 年熊本地震の断層滑り方向の予測
2016 年熊本地震発生以前の応力場から,熊本地震断層面で期待される滑り方向の予測(下図の黒の直線)を行った。本震時の実際の滑りの方向(下図の白の直線)とよい一致が見られ,地震時滑り方向は応力場に規定されていることが明らかになった.一方で,断層面に関しては,応力場から期待される最適面と実際の断層面のずれが大きい領域があったが,その原因を間隙流体圧が高く岩盤の強度が弱かったためと考え,両断層面のずれの程度から間隙流体圧の相対的な大きさ(相対間隙流体圧)を推定したものを,下図に青~赤の色で示した。暖色系の色は,間隙流体圧が相対的に高いことを表している。

地震のメカニズム解から推定された御嶽山周辺域の間隙流体圧の3次元分布
山麓の地下5~8 km あたりに間隙流体圧が高い断層が存在することが推定された(左図中の矩形A~C)。☆は1984 年長野県西部地震の震央。右図に間隙流体圧が低い(静水圧)断層と高い断層のイメージを示す(水色は間隙流体、茶色は断層)。

相似地震活動の解析から推定された南西諸島海域でのプレート間滑り速度の時間変化
(上図)滑りが加速することで相似地震の活動が活発になると考えられるため,相似地震の活動から滑り速度を推定することができる。滑りが加速すると,大きな地震の震源域での固着をはがそうとする作用が働く可能性がある。(下図)日向灘南部では,2015 年頃以後,滑り速度が加速していることが捉えられた。青線は地震活動度が変化した時期を示す。

阿蘇山における噴火に伴う各種観測量の時間変化、および火口中央部と火口南壁の活動様式の違い
阿蘇山においては地球物理学的多項目観測が行なわれている。2013 年9 月から2017 年6 月までの各種観測量の変化と,2015 年から2017 年に掛けて発生した噴火との対応を調べたところ,噴火時期が近づくにつれて,地下の体積変化量を示す基線長の伸び,熱的活動の活発化,火山性地震の微動振幅増加,熱消磁を反映する地磁気変化等,多くの観測項目に火山活動の活発化を示すシグナルが現われることが明らかになった(図左)。
火口中央部の温度変化は活動変化に対応しているのに対し,火口南壁の総放熱量変化と活動変化との対応は明瞭でない。これは,火口中央部からは火山灰が放出されるが火口南壁は噴火中でも水蒸気放出が卓越する(図右)という活動様式の違いに関係があると考えられる。即ち,火口中央部はマグマの通り道であるために活動変化が直ちに温度変化として現れるのに対し,火口南壁はマグマの通り道になっておらず,放熱量変化が噴火活動と直接は対応しないため,と考えることができる。

都市的土地利用に変化した地点のカーネル密度分布
カーネル密度推定は,点分布が与えられたとき,そこから密度を推定する方法のひとつ。ただし,密度の均一分布を仮定せず,計算地点からの距離減衰効果を考慮に入れて推定する。数値の高いところは,都市的土地利用に変化した地点が空間的に集中していることを表す。

GNSS 搬送波位相データから断層滑りを直接推定する手法 (PTS)により推定された2016 年熊本地震本震の滑り分布
(上段)断層滑りとGNSS 搬送波位相データの模式図。通常の解析と異なりGNSS 観測点の位置を推定しないことで解析が軽量になること,及び,GNSS 衛星の概略位置のみで解析ができることから,解析時の外部情報への依存が少ないことが同手法の利点となる。
(下段)PTS によって推定された断層滑り。黒矢印と棒は,本解析とは独立に,精密単独測位法 (PPP)によって算出された地震に伴う水平および上下変位を示す。同様にPTS によって推定された断層滑りから期待される地表面変位を白抜きの矢印と棒で示す。両者はおおむねよく一致している。


平成28年度の成果

平成27年度の成果

平成26年度の成果

平成25年度の成果

前計画までの成果