1999.8.5

No.0206

(1)実施機関名

京都大学 防災研究所

 

(2)新建議の項目

1.(2)準備過程における地殻活動

 

(a) 課題名

活断層の動きと構造-跡津川断層系における研究  

(安藤)

H11年度の予算規模:無(予知計画から)

実施計画:大変申し訳ありませんが、月刊地球225号「活断層の構造」を

参照いただければ幸いです。

 

到達目標:予知計画としては今年度は実施いたしません。

 

5カ年計画の位置づけ:科学技術庁振興調整費として実施しています。

           本年度は4年目でまとめの時期にあります。

           正直のところ、大学の予知計画と比べ結果を出す

           必要があり、その点が大変プレッシャーになっている

           (ある意味ではスポイルされない)。

 

(概算要求書)

活断層の動きと構造ー跡津川断層系における研究

a.  要求理由

(1)地震の準備過程は、地震発生断層面に限らず、活断層を含む広い領域で進行している。この動きを、測地や地震観測を通して明らかにし、破壊の発生の予測を行うことが求められている。

(2)跡津川断層周辺は、過去30年近くにわたり地震観測等が整備され、活断層の研究のための地学的条件も恵まれている。これらのことから、地震の準備過程を研究するための最適地の一つといえる。

(3)特に、跡津川断層は、その両端を火山で限られており、単独の断層の動きとして現象を抽出しやすいことが研究対象として優れている。

(4)京都大学防災研究所は、1967年より観測所を設置し、地殻変動と地震観測を行ってきた。76年より地震観測網のテレメータ化を実施し、その後観測点は能登地方にも拡げられた。この間、跡津川断層に沿う顕著な線状の地震分布、北アルプス火山の間での地震活動の相補性、地震空白ブロックの発見など興味深い現象が見つけられた。

(4)跡津川断層の東側(跡津地域)でクリープが生じていることがこの20年間の観測から、国土地理院により明らかにされた。これは、日本で最初に発見された活断層上のクリープであり、断層の破壊過程を知る手がかりを与える可能性が高い。

(5)近年の稠密地震観測より、跡津川断層面上で地震活動が低い領域がクリープを発生させている部分と一致することが分かった。これにより、断層の固着域と安定すべり域とを地震活動から明らかにする可能性ができた。

(6)跡津川断層域には、調査坑の掘削やGPSアレイ観測が設置され、クリープと地震の関連などを総合的に観測が進められている。ただし、これらは極めて間隔が粗い観測網で、地震の準備過程を知るためには、断層から10数kmの範囲で間隔を密にして面的に展開する必要がある。このために、地震予知計画としての稠密地殻変動観測が必要とされる。

(7)断層や周辺の不連続面ではどのようなすべりが起こり、どのように地震発生に至るかの準備過程を押さえるのが、5年間のこの研究を通して明らかにされるだろう。

 

b.  事業内容

・跡津川断層周辺の領域に60ヶ所にGPS観測点を配置し、跡津川断層、水平デタッチ面、広域変形を明らかにする。ここでは1周波と2周波 GPS受信機を併用し、地殻変動変位ソースのトモグラフィーを実施。

・断層面上の動きは広域の地殻変動(応力)と連動しているはずで、広域地理院GPS観測、地震観測データとの関連を追う。

・茂住断層を横切り480mの調査坑が掘られているが、近くの神岡鉱山には全長100kmにおよぶ坑道がある。これを利用した、電磁気、地震観測を実施する。

         跡津川断層を含む100kmx100kmの領域。集中観測は50kmx30kmの領域。断層面上のクリープ領域、固着領域が、地震観測結果と合わせ明らかになる。

・が生じる水平すべり面の存在とその面上のすべり量、広域の地殻変形など、現在のGPS観測からわかる変形が、どの部分の変形やすべりによるものかがが明らかになるだろう。ここの地域では、種々の計画が走っているが、共有部分を持つ計画は互いに協力し計画を進める。

 

c.  年次計画

平成11年度

・2周波GPS観測点を5点、1周波GPS観測点を10点設置する

・2周波データは電話回線にて連続収録

・国土地理院および関連GPSデータを併合してデータ解析

・地震データおよび精密連続諸観測との比較検討

 

平成12年度

・2周波GPS観測点を5点、1周波GPS観測点を10点設置する

・2周波データは電話回線にて連続収録

・国土地理院および関連GPSデータを併合してデータ解析

・地震データおよび精密連続諸観測との比較検討

・活断層域の総合的なモデリング(固着域、安定すべり域の同定)

 

平成13年度

・2周波GPS観測点を5点、1周波GPS観測点を10点設置する

・2周波データは電話回線にて連続収録

・国土地理院および関連GPSデータを併合してデータ解析

・地震データおよび精密連続諸観測との比較検討

・地殻内変形の総合的なモデリング

・データの公開。

 

平成14年度

・2周波GPS観測点を5点、1周波GPS観測点を10点設置する

・2周波データは電話回線にて連続収録

・国土地理院および関連GPSデータを併合してデータ解析

・地震データや精密連続観測との比較検討

・地殻内変形の総合的なモデリング

・次期計画のための討議と国際外部評価の実施。

 

平成15年度

・データの総合的な整理・編集およびデータ公開。

・地殻内地震発生場の総合的モデリング

・まとめ