1999.8.5

No.0209

(1)実施機関名

京都大学 防災研究所

 

(2)新建議の項目

1.(3)直前過程における地殻活動

 

(a) 課題名

南アフリカ金鉱山における地震予知の半制御実験  

(安藤)

H11年度の予算規模:予知計画からは無

予算的には、科研費A(7年前、4000万円)を核として、その後、科研費、個人研究費、寄付などにより計画を進めてきた。月刊地球229号「地震を手にとって調べる」を参照していただければ幸いです。

 

H11年度計画:新たな観測点における観測の立ち挙げ

 

5カ年計画の位置づけ:第1次観測から観測点を移動させ、第2次観測の

断層の分布する鉱山での観測の期待できる

 

(概算要求書)

8次地震予知計画

 

南アフリカ金鉱山における地震予知の半制御実験

 

a. 要求理由

1)鉱山地震学は、鉱山に発生する山はね、落盤、誘発地震の防止と予測のために、地震学の知識や手法を応用し基礎研究を行う分野である。

2)岩盤内の応力状態や破壊の発生の過程の研究を通して、鉱山内の地震災害の軽減に努めるのが目的のため、地震予知計画と共通部分が多い。

3) 鉱山地震の特徴は以下の通りで、自然地震研究のための大規模実験と性格づけられる。その理由は、

(1)             地震発生の原因が人工的なため予測に関わるunknown が少

ない、

  (2)  地震数が極めて多く短い時間で解析可能となる、

  (3)  地震観測が3次元的、かつ至近距離で行えるため震源過程や

    内部構造の情報が得やすい、

  (4)  正確な地下構造が他の手法からもわかる、

  (5)  マグニチュード・スケールの巾が大きい(-2 < M < 5)ため

     要因が抽出しやすい、など。

4)さらに、鉱山での地震研究は、リアルタイム地震学を実践している分野であり、地震学も学ぶ点は多い。鉱山地震観測において最も優れた点は、至近距離から地震の発生に至る歪み蓄積過程、初期破壊形成過程、破壊過程などの諸過程の全過程が観測できることある。これらの成果は、地震発生のメカニズムや地震予知研究にとって極めて重要である。

5)このような条件を持つ鉱山は日本には存在しないため、外国に求める必要がある。このなかでも、南アフリカの大深度鉱山は、施設や設備のが充実していること、成果の蓄積が十分にあること、日本との共同研究が数年にわたり続けられていたことなどから、最適なフィールドといえる。

6)本研究では、南アフリカ金鉱山において最近用いられているシステムも採用する。ここで検討するシステムとは、観測された見かけ応力や地震モーメントに基づき種々のパラメータを求め、鉱山地震の活動の予測を行う解析システム

7)南ア金鉱山での国際共同研究は文部省科学研究費を基礎に、平成5年より5年間の実績がある。この共同研究の中で、採鉱坑道に、地震計、歪計アレイ観測を実施てきた。日本側から、延べ30人、南ア側から3名がそれぞれ相手国を訪問し、昨年度には国際ワークショップも開催した。

8)南ア研究者・鉱山会社との共同研究を通して、地震パラメータより推定される見かけ地震体積と歪み計の対応が良いこと、大きなS波偏向異方性、極微小地震のスケーリング則などが明らかになった。

9)本研究は、従来の科学研究費や民間奨学金によるサポートを基礎にして、新しい研究発展のために、5年間を見通した計画を実施する。

 

b.  事業内容

1)南アフリカ国ヨハネスブルグ近郊の金鉱山深さ約3000mの坑道内部に、総合的観測システムを地震多発地点近傍の観測点を整備する。

2)南アグループと共同で、鉱山地震の観測(高ダイナミックレンジ、高サンプリングの観測により、前震の震源分布、卓越周波数などの波形特性、本震の破壊過程、余>震分布、地震波速度、減衰、S波巣プリッティングなどの研究を行う。

3)地殻変動、電磁気、地球化学、精密弾性波観測、応力測定などを実施する。

4)多数の地震を観測・データ収録を通し、地震の準備過程、震源核形成過程とその規模依存性を明らかにする。

5)良好な観測環境を得るための保守管理を南ア研究者と共同で綿密に立てる。

6)広く国際研究として発展させるため、必要があるので、この方面で南アフリカに近い経験と能力を持つカナダ、イギリス、ポーランドなどと研究打ち合わせを行う。

7)共同研究機関・研究者(京大関係者は除く)

  防災科学技術研究所  飯尾能久 震源極近傍観測計画       

  地質調査所環境地質部 長 秋雄 南ア金鉱山の掘削と地震 

                   佐藤隆司 破壊形成過程     

  東京大学地震研究所  石井 紘 地殻変動観測と地震活動との相関

 

  立命館大学理工学部  小笠原宏

 比抵抗観測からみた地震の発生過程 

             日本側協力者はほか10名

  

ISS International      Dr Alexi Mendecki 

Quantitative seismology and rockmass stability

Witwatersrand Univ.   Rod Green

   Mining in a deep gold mine,rock mechanics

                                           他多数

 


c. 年次計画

平成11年度

・日本側から南ア金鉱山を訪問。地震観測点の整備:従来日本側および南ア側が設置した地震計および地殻変動観測点の保守・整備・点検。

・掘削計画に従い、観測点の新設、移転等を実施する。

・南ア鉱山および南ア共同研究者との保守管理・データ収録・データ1次処理についての討議・検討。

・地震発生のモデリング。

 

平成12年度

・日本側から南ア金鉱山を訪問。地震観測点の整備:従来日本側および南ア側が設置した地震計および地殻変動観測点の保守・整備・点検。

・掘削計画に従い、観測点の新設、移転等を実施する。

・南ア研究者を招へいし、保守管理・データ収録・データ1次処理についての討議・検討。

・鉱山地震発生のモデリングと大地震発生との関連についての研究。

 

平成13年度

・日本側から南ア金鉱山を訪問。地震観測点の整備:地震計および地殻変動観測点の保守・整備・点検。

・掘削計画に従い、観測点の新設、移転等を実施する。

・南ア鉱山および南ア共同研究者との保守管理・データ収録・データ1次処理についての討議・検討。

・鉱山地震発生のモデリングと大地震(鉱山地震としての)発生との関連についての研究。

 

平成14年度

・日本側から南ア金鉱山を訪問。地震観測点の整備:地震計および地殻変動観測点の保守・整備・点検。

・掘削計画に従い、観測点の新設、移転等を実施する。

・南ア鉱山および南ア共同研究者との保守管理・データ収録・データ1次処理についての討議・検討。

・鉱山地震発生のモデリングと大地震発生との関連についての研究。

・次期研究計画の検討と国際外部評価の実施。

 

平成15年度

・日本側から南ア金鉱山を訪問。地震観測点の整備:従来日本側および南ア側が設置した地震計および地殻変動観測点の保守・整備・点検。

・掘削計画に従い、観測点の新設、移転等を実施する。

・南ア鉱山および南ア共同研究者との保守管理・データ収録・データ1次処理についての討議・検討。

・鉱山地震発生のモデリングと大地震発生の予測方法の提案。

・本計画のまとめ。