1999.7.9
No.0502.2
(1) 実施機関名
東北大学大学院理学研究科
(2) 新建議の項目
1. 地震発生に至る地殻活動解明のための観測研究の推進
(2) 準備過程における地殻活動
(a) 小課題名
高精度移動微小地震観測による断層周辺の構造と応力のゆらぎの解明
(b) 関連する建議の項目
1. (1) ウ、(2) イ・ウ
(c) 平成11年度の到達目標
長町・利府断層地域において微小地震の稠密・広帯域地震観測を行い、長町・利府断層近傍での微小地震活動の特性を明らかにし、また、構造についての予備的解析を行なう。
(d) 平成11年度の実施計画の概要
臨時テレメター観測点および臨時広帯域観測点と既存の微小地震観測点、広帯域地震観測点を組み合わせることにより、稠密地震観測を実施し、長町・利府断層近傍での微小地震活動の特性と構造の特徴を明らかにする。さらに
8月に実施予定のJAMSTECによる海域構造探査実験の際に、断層深部構造の情報を得るために、東京大学地震研究所・山形大学理学部と共同で陸域に高密度の臨時観測点を設置する予定である。また、東北地方脊梁地域における観測を地震活動が高い地域を中心に再配置し観測を継続する。これらの観測の総予算規模は約7,000千円。参加人員は約10名。
(参考:科学技術庁振興調整費「陸域震源断層の深部すべり過程のモデル化に関する総合研究」(地質調査所・他)
により、長町・利府断層地域において構造探査予備実験 が実施される予定である。)
(e) 全体計画のうちの平成11年度の計画の位置づけ
長町・利府断層地域において平成11年度から開始される稠密・広帯域地震観測は平成12年度以降も継続する。上記振興調整費によって平成12年度から行われる稠密地震観測によるデータも利用し、得られたデータから長町・利府断層近傍での地震のクラスターと空白域を抽出する。クラスターごとのメカニズム解・応力降下量・中小地震の震源過程を精度よく求め、応力テンソルインバージョンによる応力の情報や
GPS観測データ(上記振興調整費による)等との比較から、長町・利府断層上での強度分布の推定を行う。さらに砕石発破・自然地震の後続波の観測や平成13年度に実施される構造探査(上記振興調整費による)
等により推定される長町・利府断層近傍での不均質構造との比較から、強度の不均一性の原因について考察する。
また、過去約百年以内に大地震が発生した領域(陸羽地震震源域、宮城県北部地震震源域等)において、平成12年度以降に同様の観測を実施し、脊梁地域で継続中の観測データとあわせ、大地震発生後の微小地震活動と断層帯の構造の特徴を抽出し、長町・利府断層の現状と比較することにより、当該断層が次の地震にむけた準備過程にあるのか否かの評価を試みる予定である。
(f) この計画の実施担当連絡者
岡田知己 電話:022-225-1950 FAX:022-264-3292
e-mail: okada@aob.geophys.tohoku.ac.jp