直前過程における地殻活動


地震発生の直前予知のためには,地震発生準備過程の最終段階において活性化すると思われる物理・化学過程をモデル化し、その妥当性を検証することが必要です.そのために,前駆現象の発現機構に関する観測研究,前駆現象検出のための技術開発,前駆現象の発現メカニズムを解明するための実験的・理論的研究を進めます.

(1) 震源核の定量的モデリング

 高圧高温岩石破壊装置を用いた実験により、構成法則の地震発生場環境要因(温度,圧力,間隙水,歪速度,破損面幾何学的不均一度)依存性の定量的評価を継続する.構成法則に基づき実験室内データ,地震破壊データを統合するスケーリング則を確立する.また,至近距離でマグニチュードのスケール巾が大きい(−2<M<5)多数の地震を観測できる南アフリカ金鉱山において半制御実験を継続し、地震の準備過程,震源核形成過程とその規模依存性を明らかにする.

(2) 前駆的電磁気現象の解明

 地震発生に関与する流体の存在を捕らえ,流体の移動を探知する手法を開発するために,伊豆半島などで,全磁力連続観測,長基線自然電位連続観測,比抵抗構造探査を実施する.また,破壊核と流体との相互作用に付随して生ずる電磁気現象発生メカニズムを解明するために,室内実験を行う.

(3) 震源核検出の手法の開発

 能動的に高周波数弾性波を照射する大型試料のすべり実験により,巨視的すべりに至る過程における微視的接触状態の変化を検出する手法を開発する.応力・歪やすべり変位のモニター以外の手法で破壊核を検出する挑戦的な試みである.