(1)  課題番号:0107b

(2)実施機関名:東京大学地震研究所
(3)建議の項目:
   ㈽-1-(2) 準備過程における地殻活動
(4) 課題名: 深部ボアホールにおける回収型インテリジェント歪み計を用いた初期応力測定システムの確立

(5)関連する建議の他の項目:

㈽-1-(2)-イ,㈽-1-(2)-ウ、㈽-3-(2)-ウ

(6) 平成11年度の成果の概要 (平成11年度の到達目標との関連を明記する。平成11年度以前の計画の成果で11年度と関連の深いものはこれに含める)


この課題は名古屋大学と共同で進めている。地震予知研究においては地殻変動観測は地震に関連した直前の異常変化や前兆的変化を観測する上で重要な項目である。地殻変動連続観測においては歪みや傾斜の観測を行っている。伊豆半島の群発地震発生地域に設置した深部ボアホール観測によると明瞭な前兆的変化が歪み計・傾斜計に異なる時期の群発地震において観測された。これにより異常地殻活動発生地域に非常に近いところで高感度の深部ボアホール観測を実施すれば前兆的変化の観測が可能であることを示している。しかしながら実際に地震発生との関連において更に知りたいのは応力の絶対値とその変化である。ボアホール地殻変動総合観測計器の設置前に計器設置地点における応力絶対値の測定が出来ればその後の歪み連続観測によりその後の応力変化を観測により知ることが出来る。深部ボアホールにおける岩盤の破壊無しの応力測定は現在行われていない。このために我々が開発したインテリジェント回収型歪み計を用いて深部ボアホールにおいてオーバーコアリングにより初期応力測定システムの確立を進めている。プロトタイプの1号機と水平ひずみのほかに垂直ひずみの測定も可能で方位計を開発し内蔵したより小口径のボアホールでの測定可能な2号機を用いて異なる深度に於ける測定を試みた。自前でボアホールを掘削する経費はないので他機関(防災科学技術研究所、東濃地震科学研究所、東濃地科学センター)と協力して進めた。観測手法のみでなくオーバーコアの技術も重要でありボーリング業者との詳細な検討を進めた。本年度は3本のボアホールにおいて実験を行うことが出来たが和歌山県新宮市において行った最深の500mボアホールにおいてほとんど同心のコアと取り出すことに成功し応力値を推定することが出来た。この地点はヒンジライン上にあり将来発生が予想される南海地震に向けた貴重なデータである。また来年度行う予定の1kmボアホールのオーバーコアリングに向けた実験も行うなど今後更にシステムを確実にする上での実験に成功した。

 

(7)平成11年度の成果に関連の深いもので、平成11年度に公表された成果

 

山内常生・石井 紘・松本滋夫・平田安廣:初期応力測定用インテリジェント回収型歪計の開発,地震学会講演予稿集,1999年秋季大会,C02.

石井 紘・山内常生・松本滋夫・青木治三:深いボーリング孔のオーバーコアによる歪み観測と初期応力測定,地震学会講演予稿集,1999年秋季大会,C11.

池田隆司・小村健太郎・飯尾能久・石井 紘・松本滋夫・山内常生:阿寺活断層ドリリング(㈼)ー岐阜県福岡町における地殻応力測定ー,地震学会講演予稿集,1999年秋季大会,C13.

石井 紘・山内常生・佐野 修・平野 享・松本滋夫・平田安廣・中尾 茂:釜石鉱山における3次元歪み・応力観測ートンネルの2Km奥,かぶり450m地点での2本のボアホールにおける歪み観測によるー,地震学会講演予稿集,1999年秋季大会,     C60.


(8) 平成11年度に達成された成果の、全体計画の中での位置づけ

(9) この課題の実施担当連絡者

氏名:石井 紘

電話:03-5841-5745

FAX:03-3813-9426

E-mail:ishii@eri.u-tokyo.ac.jp