(3)建議の項目:1(3) 直前過程における地殻活動
(4)課題名: 直前過程における地殻活動(観測)
−>電磁気的手法による地殻活動監視の観測研究(課題名変更)
(5)関連する新建議の他の項目
1(2)イ,ウ,エ,1(3)ア、イ、ウ,
2(1)エ,2(2)ア
(6)平成11年度の成果の概要
伊豆半島東部地域・東海・首都圏地域の全磁力,伊豆半島の長基線自然電位連続観測を継続した(伊豆半島27点,東海地域4点,千葉,神奈川県2点).伊豆半島の場合は東工大,京大防災研,気象庁地磁気観測所,東海大学との共同研究である.平成11年3月に伊東市付近においてTDEM(時間領域電磁法)による比抵抗構造探査を行ったが,更に平成12年3月に繰り返し測定を実施し,時間変化の有無を調べる予定である.
第1図に伊豆半島東部地域の電磁気観測点分布を示す.異常な全磁力減少(5年間で-30nT)を示す伊東市北部の観測点(御石ケ沢:OIS)の周辺にプロトン磁力計の臨時観測を展開した.第2図にOIS周辺の観測点における過去1年間の全磁力の変化をしめす.OI2,OI3,OGSはOISからそれぞれ120m西,450m西,800m南に置いた磁力計である.1998年後半からOISの全磁力減少は止まっていたが,1999年7月頃からこれらの4観測点で3—5nT位全磁力が減少し,その後回復しつつあるように見える.
第3図は更に南の海岸付近の全磁力変化であるが,OIS付近と同期した変化は宇佐美付近で消失している.しかし新井(AR2)および川奈(KWN)の1999年後半の変化は,OIS周辺の変化と似ている.従ってこれらの全磁力変動が地殻活動と無関係な,例えば海流に誘導された磁場変化の可能性はあり,今後の追求が必要である.第3図には群発地震発生域の真上に近い手石島(TIS)の全磁力も示されている.1999年には変化がほとんど無かった.
TDEM観測のデータは3次元性を強く示し,成層構造のモデル解析手法が使えない.とりあえず直流法的処理を行った結果,海の影響では説明できないことが分かり,地下浅部に良導体が存在することが示唆された.
(8) 平成11年度に達成された成果の,全体計画の中での位置付け
伊豆半島の群発地震発生には地殻内流体(熱水,地下水,ガス,マグマ)が関与していると考えられる.我々は地震発生に関与する流体の存在を捕らえ,流体の移動を探知する手法を開発することを全体計画の主要目的に置いている.TDEM観測は流体の所在を,地磁気・電位差観測は流体の移動を捕らえることを狙っている.
(9)この課題の実施担当連絡者
笹井洋一 Tel:03-5841-5816 Fax:03-5689-7234
E-mail: sasai@eri.u-tokyo.ac.jp