(1)課題番号:0112
(2)
実施機関名:東京大学地震研究所
(3)
建議の項目:
   3. 地殻活動シミュレーション手法と観測技術の開発
   (1) 地殻活動シミュレーション手法
(4)
課題名:地殻応力・歪変化シミュレーション手法に関する研究
(5)
関連する建議の他の項目:
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平成11年度の成果の概要 
 シミュレーションにおいては特に高速計算機の導入が必要であるが,そのための設備費要求が認められなかったため,既存の計算機システムに頼らざるを得なかった.また検証システムも同様である.なお,今後もこの設備が認められる可能性が低く,当初目標の達成(特に検証システムの導入)は困難であろう.数値シミュレーションに関しては,相当の進展があった.以下に加藤及び堀による2件の研究成果について概要を示す.

まず,加藤は3次元有限要素法ソフトウェア及び関連するソフトウェアを導入した.これを用いて日本列島の3次元有限要素モデルを構築した.有限要素法によるモデル化は,まず,2次元モデルから出発し,比較的単純な3次元モデルへと進んだ.日本列島の3次元モデルを構築する際には,ターゲットとする事象の時間スケールによって媒質モデルを変えなくてはならないが,ここではGPS観測による短期の変位場を考えているので純粋な弾性媒質モデルを仮定した.境界条件としてはGPS観測で得られているプレート運動を仮定した.日本列島内部の変位場を考える際,1)太平洋側のプレート沈み込みによる変位は日本列島の幅程度の狭い領域で減衰してしまうこと,2)大陸からの押し出しによる影響は日本列島中部まで及んでいること,の2点を矛盾なく説明しなくてはならない.1)に関しては沈み込むプレート面の浅い部分にのみカップリングを与えることでほぼ解決する.2)に関しては,大陸側プレートが地殻下部を支えているというモデルでほぼ解決できる.以上のような条件を課すことで,日本列島の変位場の基本が説明できると考えられる.現在より詳細な3次元モデルで計算を実施している.

次に,堀による成果を箇条書きに挙げる;

理論解析

提案されていた応力逆解析理論を改良し,列島各地域の応力増分と構成則を推定する理論を提案した.また,沈み込み帯の3次元的な変形が考慮できるよう,スペクトル分解を用いたグリーン関数の逆解析理論を提案した.

数値解析

新しい応力逆解析理論に基づく数値解析コードを開発した.

数値解析結果

実際のGPSデータを用いて,1999年の1日ごとのひずみ増分分布に対応する応力増分を計算し,地域の構成則推定を行っている.

 

(7)平成11年度の成果に関連の深いもので、平成11年度に公表された成果(出版された論文、学会大会等での発表、会議報告等を科研費の申請書に倣って書く「著者名、論文名、学協会誌名、巻()、最初と最後のページ、発表年(西暦)、著者名が多数にわたる場合は、主な著者を数名記入し以下を省略」)

(8) 平成11年度に達成された成果の、全体計画の中での位置づけ

(9) この課題の実施担当連絡者

氏名:加藤照之
電話:03-5802-8644
FAX
03-5689-7234
E-mail
teru@eri.u-tokyo.ac.jp