(1)課題番号:0203
(2)実施機関名:京都大学防災研究所
(3)建議の項目:.(2)準備過程における地殻活動
(4) 課題名:「花折断層周辺稠密GPS観測」
(5)関連する建議の他の項目:1.(2)ウ
(6) 平成11年度の成果の概要
本年度は、5月13日〜6月2日に春季観測を、10月15日〜11月22日まで秋季観測を実施した。本年度の課題として一部の点の連続観測化をあげたが、予算の範囲内でおいてこれを実現するために1周波器を3台購入し、昨年末に納入された。設置は降雪地帯も含むため遅れているが年度内に観測を開始する。これまでの結果が、連続データのある参照点と、各期5〜6日間の短期観測である本計画による観測点とで、変位方向はほぼ同じであるが、量的にはスポット点の方が有意に大きいという結果がでているので、解析方法も含めて検討を進めている。連続観測化は上記に対する検証・対策の意味合いも持つ。また、2周波・1周波データの混合網での解析法に関し本ネットに対する最適な方法の検討を進めている。現在明らかになっている相対変位分布は、花折断層南端からさらに南部に位置する京都大学地震予知研究センターの連続観測点を固定点として、観測対象としている花折断層南半分の周辺域内において、その南端はわずかに南向きが卓越し中央から北側にかけては北西〜北北西の方向が卓越している。地表の断層トレースが歪分布の境界となる傾向は認められない。
(7)平成11年度の成果に関連の深いもので、平成11年度に公表された成果
Ohya.F., K.Shigetomi, K.Nakamura, Y.Hoso, T.Nakano, M.Harada and
T.Tanaka
Detection of strain contrast at the Hanaori fault, Kinki district in southwest
Japan, by dense GPS observation network.; presentation at International
Symposium on GPS, October 18-22,1999
大谷文夫、重富國宏、中村佳重郎、細 善信、中野健秀、原田昌武、田中寅夫;花折断層周辺における稠密GPS観測、京都大学防災研究所研究発表講演会、2000年2月17-18日
(8) 平成11年度に達成された成果の、全体計画の中での位置づけ
現行地殻変動(GEONETなど)で歪コントラストの見られる、信濃川−跡津川−花折−淡路構造線のうち、地震や地殻変動連続観測(坑道内)の稠密なネットのある花折断層南部が、この構造線の近畿地方内の部分で唯一最近2−3千年間で地震発生の痕跡の見られない場所である。そのためここは地震発生準備過程の研究に最適であり、この地域の歪分布をGPSで連続観測するのが、地震予知計画として申請している計画内容である。この申請自体は認められていないため、春、秋のスポット観測という形で実施しているが、これをできるだけ本来の観測に近づけるために、とりあえず1周波で一部点を連続観測化するのが本年の計画である。
(9) この課題の実施担当連絡者
氏名:大谷文夫
電話:0774-38-4228
FAX:0447-38-4299
E-mail:ohya@rcep.dpri.kyoto-u.ac.jp