(1)課題番号
0304
(2)実施機関名:
北海道大学理学研究科
(3)建議の項目:
2.準備過程における地殻活動
2−(2)地震多発域へのローディング機構の解明
(4)課題名:
弟子屈・屈斜路カルデラ地域での地殻活動モニタリング
(5)関連する建議の他の項目:
1−(2)ア,2−(1)ア,イ,オ
(6)平成11年度成果の概要:
平成11年度の到達目標は,本地域での繰り返しG高密度GPS観測およびデータベース構築である.平成11年5月に,GPS臨時観測を実施した.観測は,平成9年度に設置したGPS観測基準点29点において実施された.また,本課題に関連して,1976年から本地域で実施されている水準測量の再測を平成元年以来10年ぶりに4月に実施した.GPS観測から得られたデータは,平成9年4月の観測結果と比較され,その結果,本対象地域では1997‐1999年の間には顕著な地殻変動は進行していないことが明らかになった.また,水準測量の結果,この10年間は地殻上下変動量が過去20年間に比べてきわめて小さいことが明らかになった.この結果はGPS観測の結果と調和的である.データベース構築に関しては,現在,体積歪データ,地電流データの伝送手法について検討を行っている段階であり,システムの開発は平成12年度以降に継続して実施される予定である.
(7)平成11年度の成果に関連深いもので平成11年度に公表された成果:
Takahashi
H. et al., Crustal deformation in Kutharo caldera observed by a dense GPS array
and leveling survey, Program and Abstract of International Symposium on GPS,
6-41, 1999.
(8)平成11年度に達成された成果の全体計画での位置付け:
平成11年度は,GPSの繰り返し観測2回目を実施した.より精度よく本地域での地殻変動を議論するには,年収変動などのノイズを取り除く必要があるために数年以上のデータを蓄積する必要があり,本年度の観測は将来的に高精度データ処理を行うための基礎データとなる.また,基準観測点を設けて連続観測を実施して,時間変動にも対応した観測体系の整備を行う予定であり,そのための予察的なデータ取得を平成11年度に行った.また,他項目観測データの伝送処理系の問題点がほぼ明らかにされたので,来年度以降,多項目データを同時にモニタリング・解析できるシステムの構築を図る計画である.
(9)この計画の実施担当者連絡先:
高橋浩晃
電話 : 011-706-2641
FAX
: 011-746-7404
E-mail
: hiroaki@eos.hokudai.ac.jp
図の説明:
GPS観測から明らかにされた弟子屈.屈斜路地域の1997年から1999年までの地殻水平変動.カルデラ外部のデータは国土地理院のGEONETデータを使用した.