(1) 課題番号:1101

 

(2) 実施機関名:九州大学大学院理学研究科

 

(3) 建議の項目:1. 地震発生に至る地殻活動解明のための観測研究の推進

                 (2) 定常的な広域地殻活動

 

(4) 課題名:九州—琉球弧の背弧域の地殻活動の解明

 

(5) 関連する建議の他の項目:1.(2)ア・ウ、1.(1)イ・オ

 

(6) 平成11年度の成果の概要 (平成11年度の到達目標との関連を明記する。平成11年度以前の計画の成果で11年度と関連の深いものはこれに含める)

 

  1999年4月20日〜1999年7月3日に東シナ海の男女海盆に於て16台の自己浮上型海底地震計を用い当該地域の地震活動を調査した。鹿児島大学理学部、北海道大学理学研究科、東北大学理学研究科、東京大学地震研究所との共同研究。

  1999年9月25日〜1999年10月10日に東京大学海洋研究所海洋観測船「淡青丸」と用船「第2静波丸」を使って、沖縄トラフ北部において人工地震探査、電磁気探査が行われた。自己浮上型海底地震計10台、海底電位差磁力計2台を設置した。人工震源としては、エアガンと火薬(薬量400Kgを2発、60Kgを1発、40Kgを71発)を用いた。東北大学、東京大学海洋研究所、東京大学地震研究所、千葉大学、佐賀大学との共同研究である。

  上記探査に合わせ、長崎県島原半島内に現地収録(連続記録収録)の地震観測点を8点設置し、自然地震と人工震源の記録を収録した。また、長崎県男女群島の男島と女島にも現地収録(連続記録収録)の地震観測点を1点ずつ計2点を設置した。観測期間は1999年9月26日〜1999年10月15日である。女島には当観測所により既に衛星電話を利用した無人地震観測点が設置されているが、微小なシグナルも観測するために連続用のデータ収録装置を設置した。

 

(7)平成11年度の成果に関連の深いもので、平成11年度に公表された成果(出版された論文、学会大会等での発表、会議報告等を科研費の申請書に倣って書く「著者名、論文名、学協会誌名、巻(号)、最初と最後のページ、発表年(西暦)、著者名が多数にわたる場合は、主な著者を数名記入し以下を省略」)

 

水原健太郎・八木原寛・後藤和彦・宮町宏樹・平野舟一郎・角田寿喜(鹿児島大学理)・高波鐵夫・島村英紀(北海道大学理)・日野亮太(東北大理)・望月将志・塩原  肇・篠原雅尚・金澤敏彦(東大地震研)・植平賢司(九州大理),海底地震計を用いた甑島西方海域における地震観測,日本地震学会講演予稿集,P027,1999.

 

植平賢司・松島  健・清水  洋(九州大理)・安達繁樹(白山工業)・齊藤幸賢(日本船舶通信),無人島でも使える定常地震観測システム,「地震」投稿中.

 

(8) 平成11年度に達成された成果の、全体計画の中での位置づけ

 本研究は本年度から着手され、他大学との合同で海底地震観測と人工地震探査が実施された。海底地震観測では、沖縄トラフ北部(男女海盆)の地震活動がはじめて明らかにされた。来年度はこれらの震源域で地震探査を実施し、当該地域の地震テクトニクスをさらに詳細に研究する。また、本年度の探査では良好なデータが取得されており、現在進行中の解析により沖縄トラフ北部における地殻構造(速度構造や地殻の厚さ)およびPn速度が明かになると期待される。

来年度以降も背弧における観測と解析を実施し、最終的には、当該地域の地殻変形過程を明らかにするとともに、アムールプレートの存在とその境界を検証して日本列島西端の境界条件を明らかにすることを目標とする。

 

(9) この課題の実施担当連絡者

氏名:鈴木 貞臣

電話:092-642-2678

FAX: 092-642-2685

E-mail: suzuki@geo.kyushu-u.ac.jp