(1) 課題番号:1104
(2) 実施機関名:九州大学大学院理学研究科
(3) 建議の項目:1. 地震発生に至る地殻活動解明のための観測研究の推進
(2) 準備課程における地殻活動
(4) 課題名:伸張場島弧における歪・応力蓄積課程の解明
(5) 関連する建議の他の項目:1.(2)イ・エ、1.(1)ウ
(6) 平成11年度の成果の概要 (平成11年度の到達目標との関連を明記する。平成11年度以前の計画の成果で11年度と関連の深いものはこれに含める)
熊本県内の内陸地震活動域周辺に於て、無線テレメータ観測点を1点と現地収録の観測点を3点設置し、地震観測を開始した。この地域では1999年10月31日にM4.3の、また1999年11月10日にM4.5の地震が地殻内で発生しており、これらの観測により精度の良い震源位置とメカニズムが求められた。これらの点は現在も稼働中であり、平成12年度も引き続き観測する予定である。この地震の震源域は、第一級の活断層である日奈久断層系の北端に位置し、また布田川断層系と交わる場所である。主な地震のメカニズムは南北張力を示しており、別府島原地溝帯の伸張場と調和的であるが、わずか径2〜3kmの震源域の広がりにもかかわらず、逆断層型を含むさまざまなメカニズム解が得られており、中部九州の複雑かつ不均質な地殻構造を反映していると考えられる。
観測点設置(1999/11/11-13)
清水 洋・松尾のり道・松島 健・内田和也
観測点保守(随時)
清水 洋・松尾のり道・松島 健・植平賢司・内田和也・栗山 都
(7)平成11年度の成果に関連の深いもので、平成11年度に公表された成果(出版された論文、学会大会等での発表、会議報告等を科研費の申請書に倣って書く「著者名、論文名、学協会誌名、巻(号)、最初と最後のページ、発表年(西暦)、著者名が多数にわたる場合は、主な著者を数名記入し以下を省略」)
第135回地震予知連絡会会報
第136回地震予知連絡会会報
地震調査研究推進本部地震調査委員会への資料(1999年12月)
植平賢司・松島 健・松尾のり道・栗山 都・清水 洋,九州中部の地震活動,2000年地球惑星科学関連学会合同大会・講演申込済
(8) 平成11年度に達成された成果の、全体計画の中での位置づけ
本研究計画の目的は、内陸地震の発生場の特徴とその時間変化を調査して、内陸地震の準備過程を明らかにすることである。
平成11年度では、中部九州の内陸地震多発地帯である別府島原地溝帯周辺における稠密観測網の一部が構築された。平成12年度でも、テレメータ点の増強と臨時観測点の展開を行い、本研究のための観測体制を整備する。平成12年度以降、この稠密観測網により震源域の不均質構造と震源分布の関係、発震機構の多様性等の関係を研究し、内陸地震の発生場を明らかにしていく。
さらに、当該地域では群発地震などの内陸地震の発生に地殻内流体が深く関与している可能性があるので、平成13年度以降は重力観測や電磁気観測にも着手し、地殻内流体の挙動とそれらの地震準備過程における役割について明らかにしていく予定である。
(9) この課題の実施担当連絡者
氏名:清水 洋
電話:0957-62-6621
FAX: 0957-63-0225
E-mail: shimizu@sevo.kyushu-u.ac.jp