(1)課題番号:1201
(2)実施機関名:鹿児島大学理学部
(3)建議の項目:1.地震発生に至る地殻活動解明のための観測研究の推進
(1)定常的な広域地殻活動
(4) 課題名:プレート境界域(トカラ列島ー奄美大島)地殻活動総合観測
(5)関連する建議の他の項目:1.(1)ア、イ 1.(2)ア、イ 2.(1)ア、イ
(6) 平成11年度の成果の概要
既設の地震観測点データのみでは、トカラ列島ー奄美大島域の震源分布を含む詳細な地震活動が把握できないため、平成11年度は奄美大島島内に現地記録収録方式の観測点を4カ所(名瀬市、住用村、瀬戸内町、宇検村)に設置し、奄美大島付近の活動の詳細を把握するための臨時地震観測を実施した。観測点間隔は15-20km程度である。
これまでの解析では、およそ3カ月の期間に2000個余り(マグニチュード1.0以上の地震はおよそ600個)の震源が決定されており、奄美大島付近の地震活動は非常に活発であることが明らかとなった。なお、この期間には特に大きな地震は発生しておらず、定常的な活動レベルと考えられる。
震源分布を見ると、深さ10km以浅では地震はあまり発生しておらず、それ以深の奄美大島の南東部およびその沖合いの領域の活動が活発である。また、奄美大島下の稍深発地震面の形状が明瞭に認められるようになった。
最も活動が活発な領域は、奄美大島中部の住用村の沖合いである。この領域に発生する地震の震源の深さは25-35kmである。震源断面を見ると、この活動は稍深発地震面の浅部延長線上に位置するように見える。しかし、この領域に発生した地震の発震機構解を調べてみると、データが少ないため精度に問題は残っているが、正断層型のようである。もし正断層型が正しいとすれば、この領域の活動は、プレート境界ではなく、マントルウェッジ内の特異な活動と考えた方が良さそうである。いずれにしろ、さらに調査を進め、活動の実体を把握する必要がある。
図の説明:
臨時地震観測で求められた奄美大島付近の震源分布。
+印は臨時地震観測点である。
(7)平成11年度の成果に関連の深いもので、平成11年度に公表された成果
なし
(8) 平成11年度に達成された成果の、全体計画の中での位置づけ
本領域でプレート間カップリングと地震発生準備過程の観測研究を行うことが目的であるが、平成11年度は予算が付かなかったので、予備的な観測を奄美大島で行った。その結果、この領域での調査研究を行うためには、既設の観測点データだけでは不十分であることが改めて確認された。
(9) この課題の実施担当連絡者
氏名:後藤和彦
電話:099-244-7411
FAX:099-244-0145
E-mail:goto@sci.kagoshima-u.ac.jp