(1)課題番号:1303
(2)実施機関名:高知大学理学部
(3)建議の項目:1.(2)準備過程における地殻活動、ウ.
(4) 課題名:中央構造線断層系近傍における地震テクトニクス
(5)関連する建議の他の項目:1.(1)ウ.
(6) 平成11年度の成果の概要:
1999年4月から瀬戸内海中部の中央構造線の北側に位置する燧灘において群発的活動が始まり、10月末には最大規模の地震M=4.9と5.1(気象庁M=4.5)の発生に至った。2000年3月においても群発的活動は少し継続している。この地域では過去にMが5.7の被害地震が発生し、さらに最近の微小地震の観測からも中央構造線から南側の地域と比べて活動が高く、小規模な群発的地震活動が観測されてきた地域である。群発的地震活動ではあるけれど頻度分布のb値は四国における長期間のデータから得られたb値と大差はなく、最大規模のMが頻度分布から突出しているのが特徴である。
群発活動域の走向は最大地震の前後でほぼ重なり合い、最大地震の余震は以前の活動域の中に起こった。M4.9のP軸の方向から推定される断層面の走向は活動域の走向とほぼ平行し(図1)、また中央構造線の走向にもほぼ平行となる。P軸の方向はこれまで求められた中央構造線付近の地殻地震のP軸の方向と矛盾しない。このことは燧灘地域では活断層は知られていないが、中央構造線付近に存在する構造線に平行な地殻弱線が存在し、西南日本における地殻地震の場合に卓越する東西方向の起震応力軸からずれた破壊をしているものと推定される。
(7)平成11年度の成果に関連の深いもので、平成11年度に公表された成果
1. 高知大学理学部附属高知地震観測所:1999年燧灘の群発的地震活動、地震予知連絡会会報、63巻、403-408、2000.
(8)平成11年度に達成された成果の、全体計画の中での位置づけ
今後も四国の中央構造線付近の速度構造、震源分布、テクトニクスの相互関連性を調べ、中央構造線に関する地震学的な特性を明らかにしていく。
(9)この課題の実施担当連絡者
氏名:木村昌三
電話:088-844-8348
FAX:088-844-8363
E-mail:skimura@cc.kochi-u.ac.jp
1303の図の説明
図1. 瀬戸内海中部燧灘におけるM4.9の地震の前(A)と後(B)における震央分布
(M>=2.0)とメカニズム解から推定された断層面の走向(破線).