(1) 課題番号：0207

(2) 実施機関名：京都大学防災研究所　地震予知研究センター

(3) 実施課題名：断層の回復過程の研究　−野島断層および周辺活断層の深部構造の研究−

(4) 本課題の5ヵ年計画の概要

(4-1) 「地震予知のための新たな観測研究計画の推進について」の項目：

III．１．（２）準備過程における地殻活動

(4-2) 関連する「建議」の項目：

（１）ウ、　（２）イ・ウ・エ、　（４）ア

(4-3) 5ヵ年計画全体としてのこの研究課題の概要と到達目標：

地震発生直後の野島断層における回復過程について研究する。そのために、以下のことを行う。

断層に掘削されたボアホール孔での地震、地殻変動、地球電磁気、地下水観測による、破砕帯

物性の時間変化の検出。断層岩を含むボーリングコアサンプルの解析による、断層活動に関する情報の抽出。断層破砕帯を通過する地震波動の解析（特に断層トラップ波、Ｓ波偏向異方性）による、破砕帯構造・応力状態の推定、および時間変化検出。注水試験による破砕帯透水性の

時間変化の検出、浅部破砕帯構造の推定、および注入水の挙動、地殻変動、地震発生に対する

作用の解明。精密制御震源（アクロス）による断層構造変化の連続測定。

到達目標は、総合的な野島断層破砕帯構造、応力状態のモデル作成、およびその時間変化の検出。今後の断層構造調査研究に対して有効な観測、解析手法の提案。

(5) 平成12年度実施計画の概要

(5-1) 「平成12年度全体計画骨子の補足説明　３．具体的な課題提案の背景」のどの項目を実施するのか：

主たる項目：「(4)-2. 断層面の破壊強度に対する地殻流体の役割」

関連項目：「(3)-1．個々の断層への応力蓄積過程の解明」

(5-2) 平成12年度項目別実施計画のどの項目を実施するのか：

「2.(3) 断層周辺の微細構造と地殻流体の挙動の解明」

(5-3) 平成12年度実施計画の概要：

ボアホール孔における地震、地殻変動、地球電磁気、地下水の各観測を継続する。

11年度に実施した第２回注水試験に伴う各観測データの解析により野島断層破砕帯構造およびその経年変化を推定する。精密制御震源（アクロス）による注水試験観測データの解釈のため、長期間連続運転を行う。断層破砕帯を伝わる地震波動の観測（トラップ波、Ｓ波偏向異方性）を行う。野島平林においてシュードタキライトを掘削し、過去の地震破壊の特性を調べる。

研究会を開催し、成果発表・討議を行う。

(5-4)　5カ年計画のうちの平成12年度の計画の位置づけと平成12年度の到達目標：

11-15年度においては野島断層に掘削されたボアホールおよびその周辺において、断層回復過程を検出するための諸観測を継続する。12年度は11年度に実施した第２回目注水試験の解析を中心に行う。13年度はボアホール内および地表での破砕帯トラップ波観測を中心とする。14年度は第３回目の注水試験を行う。15年度は第３回目注水試験結果解析をもとに断層固着過程の検討を行い、野島断層の回復過程および深部構造研究のまとめと今後の計画への発展を検討する。12年度に行う注水試験結果の解析において断層固着に関する物理的情報を得ることは全体計画の中で重要な位置を占める。

到達目標は、11年度に実施した注水試験の各観測データを解析し、総合的に野島断層破砕帯構造の推定およびその経年変化（回復過程）を検出する。また、誘発地震の発生メカニズムと注入水の作用を検討する。シュードタキライトを掘削し、野島断層における過去の地震破壊の特性に関する情報を得る。

(5-5) 共同研究の有無：

東京大学地震研究所、金沢大学理学部、名古屋大学理学部、高知大学理学部、東北大学理学部等、約15機関との共同研究。防災科学技術研究所、地質調査所の研究協力も得る。参加人員は約60名。

(6) この課題の実施担当連絡者（氏名、電話、FAX, e-mail）：

西上 欽也、TEL: 0774-38-4279、FAX: 0774-31-8294、

　E-mail: nishigam@drs.dpri.kyoto-u.ac.jp

大志万 直人、TEL: 0774-38-4202、FAX: 0774-38-4190、

　E-mail: g53032@sakura.kudpc.kyoto-u.ac.jp