(1) 課題番号：0115
(2) 実施機関・部局名：東京大学・地震研究所
(3) 実施課題名：活断層調査による台湾地震の事前予測可能性の検証
(4) 本課題の5ヶ年計画の概要
(4-1) 「建議」の項目：
III．１．(１) 定常的な広域地殻活動
(4-2) 関連する「建議」の項目：
（１）エ、（４）イ
(4-3) 5ヵ年計画全体としてのこの研究課題の概要と到達目標：

1999.9.21台湾地震は逆断層が活動した近年における少ない例で，この地震の位置・規模・発生時期がどの程度予測可能であったかを検証することは，現在日本で進めている陸域地震の長期予測研究の水準を検証する上で重要である．このような調査には台湾側研究者からも，防災を目的とした人道的立場からも要請も高く，研究者レベルでの共同研究の必要性が高まっている．このため，台湾地震の事前予測可能性を明らかにすることを，今後5ヶ年の到達目標とする．

(5)　年度実施計画の概要
(5-1) 「平成12年度全体計画骨子の補足説明　３．具体的な課題提案の背景」のどの項目を実施するのか：
(1) 広域応力場の形成メカニズム
(1)-3　変形特性
(1)-3-3　地殻・最上部マントルの長期的な変形特性の解明

(5-2) 平成12年度項目別実施計画のどの項目を実施するのか：
1.「定常的な広域地殻活動」研究計画　(3).

(5-3) 平成12年度実施計画の概要：

平成12年度は，「位置」の予測に焦点を絞る．数度渡航し，台湾大学・台湾師範大学ならびに台湾中央地質調査所と共同で1999.9.21台湾地震以前の空中写真判読を実施し，2万5千分の1スケールの活断層詳細マップを作成する．判読基準は渡辺・鈴木(1999)に準拠し，客観的証拠と共にこれと地表地震断層の位置を予測し，それを実際の地表地震断層位置図と比較することで壊滅的な被害と直結した地表地震断層の出現位置の予測可能性を明らかにする．また，地表地震断層と活断層を比較する過程で，地形断面測量を実施し，変位量と変形帯の関係についても明らかにし，地震時変位量の予測可能性の検討に資するデータの収集に努める．

(5-4) 5カ年計画のうちの平成12年度の計画の位置づけと平成12年度の到達目標：

平成12年度に「位置」の予測可能性を中心に進めた後，次年度以降は断層運動の年代論を入れる．すなわち，トレンチ調査による活動履歴調査に基づいて，過去の活動履歴から地震発生時期の予測がどの程度可能であったかを検討する．また，（累積変位量を時間で割った）平均変位量の断層沿いの分布様式を明らかにして，それと地震断層の変位量分布との関係を検討し，変位量分布や地震規模の予測可能性を検討する．さらに強震動波形との関連についても考察する．これによって，今後の日本における地震発生長期予測技術の向上を目指す．平成12年度の到達目標は台湾地震の地表地震断層の出現位置の予測可能性を明らかにすることである．

(5-5) 共同研究の有無：
東洋大学社会学部、愛知県立大学情報科学部との共同研究。

(6) この課題の実施担当連絡者（氏名、電話、FAX, e-mail）：

氏名：島崎邦彦、電話：03-5841-5694、FAX:03-5689-7236、

e-mail:nikosh@eri.u-tokyo.ac.jp