(5) 関連する「建議」の項目：(1)ア
(6) 平成12年度の成果の概要：
均質な脆性物質を用いた最近の精密な実験研究によれば、破壊のダイナミクスと破壊面の幾何学形状の複雑化は密接な関係があると言うことがわかってきた。したがって、断層形状の複雑さは、地域的特徴を持つはずである。断層形状は、また、長い時間の間に変化していくものと思われる。このような断層形状の時空間変化は地震の起こりかたの時空間変化を伴っているはずである。理論的には、互いに平行ではあるが同一平面上にはない亀裂の合体過程の理解が、このような問題についての理解への第１ステップとなる。我々の知る限りでは、このような視点からの研究はすべて準静的なものである。我々は、動的な場合の理解をすすめるため、任意の形状を許す亀裂の動的成長の解析を開始した。手法は、境界積分方程式法である。図１は、一定速度で進むSH型亀裂の合体の様子の一例である。この場合は、一様な媒質を仮定しており、亀裂先端同士が合体する。強度や応力降下量分布に不均質性がある場合は、合体過程は複雑化すると思われ、現在計算を実行中である。
また、任意の形状を許す亀裂の動的な解析では、従来、一様無限弾性体を仮定していたが、平成12年度には層構造の場合の数学的定式化を完成させた。これにより、現実的な考察への手がかりができた。
(7) 平成１２年度の成果に関連深いもので、平成１２年度に公表された成果：
なし
(8)平成１２年度のに達成された成果の、全体計画の中の位置づけ：
１２年度の研究により一応の定式化が終わった。次年度以降は、本格的なシミュレーションを実行する。
(9)この課題の実施担当連絡者：
氏名：山下輝夫
電話：03-5841-5699
FAX：03-5841-5693
Email：tyama@eri.u-tokyo.ac.jp
図の説明
図１ 亀裂の動的合体過程の一例
