(1)課題番号:
0301
(2)実施機関名:
北海道大学大学院理学研究科
(3)建議の項目:
(1)定常的な広域地殻活動
(4)課題名:
稠密地震観測・重力観測を基本とする北海道内陸地震帯の活動度
および構造評価
(5)関連する建議の他の項目:
III.1.(2),ア、イ、エ
(6)平成12年度の成果の概要:
平成12年度の地震観測の到達目標は,平成11年度に新設した臨時テレメー
タ地震観測網を維持しつつ、データを準リアルタイムで解析し、速報的な結果
を出すことである。1999年8月1日から2001年2月25日までに約6000個の
震源が決定された。その結果、日高山脈の東側では、太平洋プレートに関連
する地震が非常に特異な分布を示すことが明らかになった。すなわち十勝沖
では太平洋プレート上面の地震活動は低調であるが、プレート内部を鉛直また
は水平に断ち割るような面上で活動が活発である。このような面状分布は3枚
見られる。1993年釧路沖地震の震源域の西側隣接部の水平な面、海溝に垂直
な走向を持つ鉛直な面それに海溝に平行な走向を持つ鉛直な面である。現時点
までの走時データを用いた3次元地震波トモグラフィーによると、十勝平野か
ら日高山脈にかけて衝上する高速度層の存在が強く示唆される。またP波初動
押し引きにより243個の震源メカニズムが決定された。それによると深さ20
km以浅の地震のP軸は活断層トレースにほぼ直交していることが明らかに
なった。日高山脈周辺の活断層は西側に凸の弧状を呈するように走向が変化
しているが、P軸の向きもそれに合わせるように変化している。
平成12年度のMT探査の到達目標は,爆破測線に沿う点でMT探査を行
い,地下構造を議論することであった.2000年7月25日から8月3日まで,
北大,秋田大,東北大,東大,千葉大,京大,神戸大,鳥取大,高知大,
地質調査所,理化学研究所から総勢28名のメンバーが集まり,広帯域MT
探査を日高山脈を横切る測線長150kmわたる地域において25測点で観測を
行った.その後,日高MTデータ解析ワーキンググループを発足させ,大量の
データを共同で整理し,解析を進めている.現在まで,データの編集,リモート
リファレンス処理を行い,見掛比抵抗,位相を求めた.見掛比抵抗擬似断面
でみる限り,日高山脈を中心に山地部は高比抵抗帯であり,その両側の平野
部は浅部から低比抵抗である.日高山脈中軸部の深部にも低比抵抗帯が見ら
れ,下部地殻の比抵抗構造を特徴付けるものとして注目される.
(7)平成12年度の成果に関連深いもので平成11年度に公表された成果:
(8)平成12年度に達成された成果の全体計画での位置付け:
平成12年度は、予定していた観測網の維持、データの準リアルタイム解析
と速報結果の導出が完了した。今後は、震源分布、震源メカニズム、トモグ
ラフィー等の最終結果を得るとともに、それらを統合して日高衝突帯の力学
モデルの構築を進める予定である。
MT探査の方では,日高山地を横断する広帯域MT探査が実施できたので,
引き続き,比抵抗構造導出に向けて解析を進める.13年度に補完調査を行い,
あわせて日高地域の比抵抗構造をまとめる予定である。
(9)この計画の実施担当連絡先:
笠原稔
電話:011-706-3591
FAX: 011-746-7404
E-mail: mkasa@eos.hokudai.ac.jp