（１）課題番号

No．０８０３

（２）　実施施機関名

東京工業大学理工学研究科

（３）　課題名

伊豆半島における地磁気・地電位観測

本課題の５ヵ年計画の概要とその中での平成１２年度までの成果

III. 1. (3) 直前過程における地殻活動

(3)  ア

これまでの約10年間の観測により、御石ヶ沢観測点（OIS）において、全磁力の減少が検出されている。この変化の原因を突き止めるために、この観測点の周辺に臨時観測点を設け、同時観測を行ってきた。その結果、この変化は非常に局地的なものであるものの、変化自体は恐らく伊豆半島群発域の応力蓄積状況を反映しているものと考えている。このことを確かめるためには、さらに観測を継続し、変化の状況を詳しくモニターする必要がある。平成１２年度では、テレメータ化を完成することができ、現在、５観測点の全磁力、３観測点の地電位をモニターしている。図に示すように、OIS観測点での全磁力減少傾向は鈍っているが、それでもまだ減少傾向は見られる。伊豆半島では、地震活動は静かであるが、このOIS観測点での全磁力データは、群発地震活動が終息に向かっているのかどうかを判断する際に重要となる。

平成１２年度成果の概要

  (5-1)  (4)　地震発生に対する地殻流体の役割

  　　　　　(4)-1. 地殻流体の実体の解明

(5-2)  2. ｢準備過程における地殻活動｣　研究計画　８０３

これまでに展開してきたプロトン磁力計観測網を維持し、さらにこれらをテレメータ化することにより、全磁力変化モニターシステムを充実させた。また、伊豆半島北東部の応力変化状況を、地殻流体の移動という観点からより詳しく調べるために、地電位観測をさらに充実させ、テレメータにて地電位変化をモニターしている。

本計画から成果を得るためには長い年限を要する。現に、御石ヶ沢観測点（OIS）における変化を検出できたのも、このような長期的観測を行ってきたからである。図に示したように、これまで急激に減少してきた全磁力が、最近では減少傾向が鈍ってきている。このことは、明確に最近の群発地震活動静穏化と関連している。今後全磁力がどのように変化するかをモニターすることは、今後の群発活動の推移を検討する際、非常に重要である。現在の状況が続いていれば地震活動は静穏のままであろうし、回復（増加）傾向に転じれば、群発地震活動は終息に向かうと判断されるかもしれない。また、再び急激な減少傾向に転じれば、群発地震活動の再開を危惧しなければならないかもしれない。

京都大学防災研究所、東京大学地震研究所との共同研究。

（６）　実施担当連絡者

 　本蔵義守　　    

Tel: 5734-2341

Fax: 5734-3537

Email: yhonkura@geo.titech.ac.jp

 

 

図説

図．伊豆半島北東部における全磁力観測点の分布及び伊豆半島西部の戸田（HED）を基準としたときの各観測点における全磁力変化。