1999.11.25 |
No.0114 (1) 実施機関名 東京大学地震研究所(全国大学、国立研究所との共同研究) (2) 新建議の項目 ㈽.1.(1)定常的な広域地殻活動 (a) 課題名 島弧電気伝導度構造解明 (b) 関連する新建議の項目 1.(1)ウ、(1)ア・イ(2)ウ・エ 2.(1)エ・オ 3.(1)イ (c) 平成13年度の到達目標 島弧マントルスケールの大局的構造を求めるため、昨年度に引き続いて四国中国西部、福島県、新潟県北部においてネットワークMT観測を実施する。また、昨年度に引き続いて、石狩低地帯、日高衝突帯の地殻から上部マントルに至る詳細構造を明らかにするため、千歳市から音別町に至る測線で広帯域MT観測を行う。さらに、吉岡−鹿野断層地域において断層にともなう地殻深部詳細構造決定のための広帯域MT観測を行う。 (d) 平成13年度実施計画の概要 1)島弧マントルスケールの観測 昨年度に引き続き、ネットワークMT観測を実施する。四国中国西部、福島、新潟両県において、自作電極とNTT交換所エリア内のメタリック線を中心とした電場観測と、エリア内の数点で磁場3成分観測を行う。 2)日高衝突帯での観測 昨年度に引き続いて、日高町から音別町に至る東側の測線で3週間程度の合同観測を行う。 3)吉岡−鹿野断層での観測 吉岡−鹿野断層を切る測線で、2週間程度の合同観測を行う。 4)研究体制 これは、北大理,秋田大鉱山,東北大理,東北工大,地質調査所,東大理,東工大理,千葉大理,愛知教育大,京大防災研,京大理,神戸大理,鳥大工、高知大理との共同研究であり、参加人数は、のべ約40名。 (e) 全体計画のうちの平成13年度の計画の位置づけ 最終的には、地殻活動シュミレーションモデルに組み込むための物質や場の条件(温度、水・メルトの含有量やぬれ角の分布)に制約を与えることを目標とする。このために、島弧マントルスケールの大局的電気伝導度構造決定(ネットワークMT観測)と特定の地殻活動地域スケールの電気伝導度精密構造決定(広帯域MT観測)を目指した観測研究を実施してきた。ネットワークMT観測については、ようやく蓄積されてきたデータの一次的解析、コンパイルが進み、島弧に沿う方向の特徴的な構造や、北海道、東北、四国中国、九州各地方の大局的な構造の類似、相違などが明らかになりつつある。また、広帯域観測では、東北日本弧の活構造発達に重大な寄与をしたとされる、千屋断層、北上西縁断層に沿う傾いた高電気伝導度帯、その中央部で良導的な下部地殻のもりあがりが検知されるなど興味深い構造が明らかになった。 ネットワークMT観測で従来用いてきた、NTTの長距離局間中継線は平成13年度の時点ではほぼ全廃されていると予想されるため、平成13年度においては自作電極とNTT交換所エリア内のメタル線を用いた観測を行うことで、西南日本弧、東北弧南端の未観測エリアをうめる。この観測によって、近畿、中部、関東地方を除いたほぼ全域で、面的な観測が終了することになる。 一方、広帯域観測を、昨年度に引き続き、地震波速度グループの合同観測が行われた日高衝突帯で行う。平成13年度では、測線東半分での観測を行う。測線中央部から東にかけては、ネットワークMTによる観測も行われており、それらのデータをあわせることにより、上部マントルに至る構造が決定されるものと期待される。 また、従来の地磁気脈動解析やネットワークMT観測解析から上部地殻の構造の不連続や、モホ面あたりの良導層のもりあがりが指摘された吉岡−鹿野断層において、地殻のより詳細な構造決定を目指した広帯域MT観測を行う。 以上のように、13年度以降も、可能な限り、ネットワークMT観測と広帯域MT観測を中心にして、島弧、地殻活動地域の2つのスケールの電気伝導度構造解明を図る。現在のところ、14,15年度に中部地方を横断する領域での観測を終えた時点で、ネットワークMT観測は終了する予定である。陸上で得られた構造の延長や、陸上での構造決定精度向上のため、その後、島弧スケールの観測として、周辺海域での観測が重要になると思われる。また、14,15年度では、花折断層、山崎断層などでの調査が候補に上がっているが、両断層とも、DCもれ電流ノイズが著しい地域にあり、TDEM法など人工電流源を用いた観測を行う必要がある。 (f) この課題の実施担当連絡者 上嶋 誠、電話:03-5841-5739、FAX:03-5689-7234 email: uyeshima@utada-sun.eri.u-tokyo.ac.jp |