No.0502.2

(1) 実施機関名

東北大学大学院理学研究科

(2) 新建議の項目

1. 地震発生に至る地殻活動解明のための観測研究の推進

(2) 準備過程における地殻活動

(a) 小課題名

高精度移動微小地震観測による断層周辺の構造と応力のゆらぎの解明

(b) 関連する建議の項目

1. (1) ウ、(2) イ・ウ、4.(4)

(c) 平成13年度の到達目標

千屋断層と長町・利府断層地域において高精度地震観測を実施し，微小地震の応力降下量推定、震源決定を高精度でおこない、断層の強度分布に関する情報を抽出する．また，長町・利府断層の深部構造の推定を行い、千屋断層の深部構造との比較を行なう。

また、トルコの北アナトリア断層周辺で微小地震観測を行い，1999年に発生した大地震後の応力場の時空間変化を調べ、この地域におけるテクトニックなモデルの構築に寄与する。

 (d) 平成13年度の実施計画の概要

前年度における千屋断層と長町・利府断層近傍での稠密地震観測を継続するとともに、高サンプリング測定システムを導入して，両断層近傍において，高精度地震観測を行う．高サンプリングで観測された地震波形により，長町・利府断層近傍の地震クラスターにたいして，応力降下量推定を高精度で行い、長町・利府断層上の強度分布に関する情報を抽出する。

あわせて、高精度震源決定を行い、断層の微細構造と強度分布との関連を探る。

なお、長町・利府断層における観測については，科学技術庁振興調整費「陸域震源断層の深部すべり過程のモデル化に関する総合研究」(地質調査所・他) の予算を用いて行われる。参加人数は10名程度。

また、東京工業大学，宇都宮大学，防災科学技術研究所，及びトルコのボアジチ大学と共同して既存の定常観測網（IZINET）を拡張し，微小地震の震源決定精度の向上させ，反射体や地震波速度構造といった不均質構造の推定およびメカニズム解の時空間変化を調べ、この地域のテクトニクスの解明に寄与する。

東北大学からの参加人数は3名程度。

(e) 全体計画のうちの平成13年度の計画の位置づけ

微小地震の応力降下量分布を知ることは断層上およびその周辺での強度不均質性を探る上で大きな手がかりとなる。これまでの地震波形収録装置では記録できる地震波形の時間分解能が十分ではなく、微小地震の応力降下量を精度よく推定することが困難であった。本年度導入される高サンプリング地震波形収録装置は十分な時間分解能があることから微小地震の応力降下量を精度よく推定することができると期待される。また、断層の微細構造を知るためには、断層近傍での微小地震の発生形態を詳細に知らなければならない。そのためには高精度の震源決定が必要である。高サンプリング測定システムは高精度震源決定においてもきわめて有効である。

また、1999年8月17日および11月12日に北アナトリアに発生した大地震の発生後の様式を解明することは、日本国内の内陸の地震を理解する上でも重要である。また、8月17日の地震の震源域の西側における大地震の発生も危惧されており、この研究の継続は重要である。

(f) この計画の実施担当連絡者

[千屋断層、長町・利府断層関係]

氏名：岡田知己 電話：022-225-1950 FAX:022-264-3292

e-mail: okada@aob.geophys.tohoku.ac.jp

[北アナトリア関係：ただし東北大内部のみ。

全体の総括は東京工業大学の本蔵義守教授]

氏名：中村綾子 電話：022-225-1950 FAX:022-264-3292

e-mail: nakamura@aob.geophys.tohoku.ac.jp