(修正:H13.6.25

No.0901 

(1)実施機関名:名古屋大学理学研究科付属地震火山観測研究センター

 

(2)新建議の項目:1,(1)定常的な広域地殻活動

 (a)課題名: 東海・東南海地域におけるプレートの形状とカップリング

 (b)関連する新建議の項目: 2(2)ア、3(1)イ、3(2)ア

 

 (c)平成13年度の到達目標

平成11年12年に観測されたデータを解析し、中部地方(特に北部)のプレートおよびモホ面の形を再検討する。また、モデルから変化が期待される地域に観測網を展開し、臨時地震観測や人工地震の観測を元に研究を実施する。

 

●東海・東南海地震域のプレート形状を明らかにするために以下の観測・解析を行う。

(1)広帯域地震観測によるプレート面変換波の解析により、非地震域を含むプレートの形状を明らかにする。

 これまでは、プレートの上面で起こる微小地震の分布を持ってプレートの形が決められてきたが、これだと、そこが地震発生のない地域かプレートがない地域かは判別できない。当センターではこれまでにプレート変換波の観測から、地震が起こらない地域でのプレートの形状を求めてきた。この変換波は2〜5秒の周期で観測されるので、以前の微小地震観測網では観測することができない。そこで微小地震観測網を広帯域化し、観測を続けてきた。今年度はこれらについての解析を進めるとともに、中央構造線から南の地域におけるマントル直下のプレート形状を明らかにするため、紀伊半島南部に数点の臨時観測点を設置し、広帯域地震計による深発地震の観測を行う。広帯域地震計は現有のものを利用し、定常観測と同じシステムで記録・処理を行う。なお、この地域の地震活動から考えると、十分なデータを得るには2年程度の期間を必要とする。

 

(2)人工地震(JAMSTEC)の観測により、プレートの形状およびプレート上面反射係数の観測

平成13年度にはJAMSTECが中心となって、中部地方で海域、陸域での人工地震探査実験が計画されている。我々は陸域最南端部の爆破を中心に静岡県西部から愛知県北東部において稠密な側線を展開し、プレート上面および内部からの反射波走時と反射効率等の観測を行う。

 この観測によって、これまで地震の分布を中心にモデル化されてきたプレートの形状などをより直接的に決めることができる。

この観測に必要な観測機器は、多少補充する必要があるものの、現有のものを利用する。なお、この研究は岐阜大学教育学部との共同で行う。

 

(e)全体計画のうちの平成13年度の計画の位置づけ

 東海地方に被害をもたらす巨大地震は東海地震だけではない。東南海地震や南海道地震などプレート間地震について、相互の地震サイクル全容を明らかにする必要がある。東海・東南海地震域はプレートの固着域が内陸にまで及んでおり、その真上での観測が可能である。当センターではプレート運動のモデルを構築するとともにこれを検証するための観測網の整備を進めてきたが、しかし、観測は東海地域にひどく偏っており、東南海地震域に関わる地域は手薄である。

 本研究では東海・東南海(南海道)地震は一連の地震として考え、東海地方から濃尾地方、紀伊半島南部を観測の対象地域とし、プレートの形状とカップリングを中心に観測研究を行う。ここでは主にプレート上面の形状を再決定することに重点を置く。

 

 (f)この課題の実施担当連絡者

氏名  山田功夫  電話 052-789-2519  FAX 052-789-3047

e-mail     yamada@seis.nagoya-u.ac.jp