1999.11.25 |
No.1302 (1)実施機関名:高知大学理学部附属高知地震観測所 (2)実施内容: 1. 地震発生に至る地殻活動解明のための観測研究の推進 (a) 新建議の項目(数字の項目まで):(1)定常的な広域地殻活動 (2)準備過程における地殻活動 (b) 課題名:海洋地域下における南海地震発生場の特徴の抽出 (c) 関連する「地震予知のための新たな観測研究計画の推進について」(以下、新建 議)の項目 (新建議のカタカナの項目まで):1.-(1)ア.ウ、-(2)エ (d) 平成13年度の到達目標: 1946年南海地震の余震域は北は中央構造線、南は南海トラフ北側の外縁隆起帯迄、 東西方向には紀伊半島から四国西部に至る広域にわたっていたことを提出してきた。 また、南海地震の震源は紀伊半島潮岬沖であったことも提出されている。現在の観 測網は主に陸域に設けられているので、陸域下の震源分布や地殻速度構造について はかなり信頼性のおける図が得られている。海域については海洋科学技術センタ-が 室戸岬沖に2箇所の海底地震計等を設置されたので、地震計周辺地域の震源分布の形 状については従来よりもはっきりと分かるようになった。しかし、南海地震の震源 域は広範囲で及び、南海地震の破壊は多重震源で起こっているため、広い領域にわ たる震源分布の形状を調べることが必要である。さらに南海地震の破壊の出発点は 潮岬沖の海底下であるため、南海地震の予測の精度を高めるためには、震源周辺に おける詳しい速度構造(最近では多くの構造調査が行われているが)と震源分布と の関係、地下深部における歪み蓄積過程に伴う地震発生層の物性の変化や流体の変 動等、総合的に多くの観測項目で測定する必要がある。 13年度は本格的な観測を行うための準備期間とし、沿岸部での試験観測、陸域や 海洋科学技術センターの海底地震計のデータの統合処理を図り、小区域での震源分 布や、南海地震発生場で地域毎に異なる起震応力場の推定を行う。 (e) 平成13年度実施計画の概要: 研究目的に応じた海底地震観測網によって独自に震源決定が精度よく行える目 的に必要な台数である。臨時的な海底地震観測網と既存の陸域観測網とのデー タ一括処理により、広域の地殻活動が把握できる。 人員要求:助手1名 陸域の観測及びデータ処理は現在のスタッフであたるが、海域の地震観測につ いては主に専門にする要員が必要となる。さらに現在の手薄な研究教育の充実 につながる。 観測計画;海底地震計を設置する方法として、沿岸部であれば本学の調査船を依 頼し、また沖合いであれば、他機関の調査船の航海に便乗させてもらう等の方 法で観測を実施する。13年度は沿岸部で観測を行い、陸域観測網による結果の 高精度化を図る。例えば土佐湾内で実施する。年度毎に観測対象地域を移動さ せて詳しい観測研究を継続すると共に、他機関(例えば海洋科学技術センター や東京大学海洋研究所、東京大学地震研究所や京都大学防災研究所等)との観 測研究協力を行う。 データ利用;海底地震観測データ公開については時期的な遅れを伴うが、依頼に 応じて公開を行い、海洋地域、特に南海地震発生場における地震現象の解明に 役立たせる。 連絡先:木村昌三、〒780-8073 高知市朝倉本町2-17-47 Tel 088-844-8348 ; Fax 088-844-8363 E-mail skimura@cc.kochi-u.ac.jp |