(1)課題番号：１３０２

(2)実施機関名：高知大学理学部

(3)課題名：海洋地域下における南海地震発生場の特徴の抽出

(4)本課題の5ヵ年計画の概要とその中での平成13年度までの成果

( 4-1 ) 「地震予知のための新たな観測研究計画の推進について」（以下、建議）の項目：１．地震発生にいたる地殻活動解明のための観測研究の推進　（１）定常的な広域地殻活動

(4-2) 関連する「建議」の項目(建議のカタカナの項目まで)：　１． （１）　ア、ウ

(4-3) 「5ヵ年計画全体としてのこの研究課題の概要と到達目標」に対する到達した成果：全体計画としてはフィリピン海プレートの形状と震源分布の対応性や起震応力場の地域性の把握である。陸域観測網と海底地震計によるデータ解析により南海トラフ付近での震源の深さは１５−３５ｋｍとかなり向上したものの、海洋地殻あるいはプレート本体に地震が発生しているのか判然としない。メカニズムについては、南海トラフから陸域に至る海域の地震のＭが小さいことや海底下速度構造が複雑なこともあって精度の高いメカニズム解は得難いのが実状である。

(5)平成13年度成果の概要

(5-1) 「平成12年度全体計画骨子の補足説明　３．具体的な課題提案の背景」のどの項目を実施するのか： （２）　プレート境界におけるカップリングの時間変化

(5-2) 「平成12年度項目別実施計画」のどの項目を実施するのか：定常的な広域地殻活動(1)

(5-3) 平成1３年度に実施された研究の概要：四国およびその周辺域に展開している各大学、気象庁および海洋科学技術センターの海底地震計等によるデータのルーチン処理を行い、サイスミシティの地域的特徴を調べた。　

(5-4) 「平成13年度の到達目標」に対する成果の概要：紀伊半島南部から四国南部にかけての地域では、地殻地震とマントル最上部地震（一般的には、地殻下地震あるいはフィリピン海スラブの地震）の ２つの震源分布が接するようになる。この位置を１９８５年から開始した南海地区観測網による解析結果から推定した。２つの分布が接するようになる位置は紀伊半島潮岬、室戸岬、足摺岬の先端部付近となる（図１）。

両分布が接す るようになる位置近傍（カップリング領域の北限か？）に１９４６年南海地震や１９４４年東南海地震の震源が位置する可能性が高いことが推定される。このため次の南海地震の破壊のスタート点として両分布が接する付近において、広域にわたる海底地球科学的諸観測と共に上記２巨大地震の震央付近での高密度諸観測の実施が必要である。

　北傾斜するマントル最上部地震の震源分布の厚さは５ｋｍ程度であるが、四国南岸ではその分布より１０ｋｍ程度下部に数はわずかながら前震−本震−余震的な活動が観測され、本震のメカニズムはＴ軸が北西−南東方向の正断層型の地震であった（図２、今回提示）。このような深さとメカニズムを持つ地震は過去にも観測されたが、活動は極端に低い。

　２００１年の海洋地域における活動の特徴としては、最近少し活発化していた土佐湾沖から九州東岸沖の かなり広い範囲、走向は北東から南西にかけた海域下では空白域が再現されてきたように見える。

(5-5) 共同研究の有無：今回無し

(5-6) 平成13年度の成果に関連の深いもので、平成13年度に公表された成果:

木村昌三, １９４６年南海地震に関係する四国における地震活動の特徴, 地学雑誌,第１１０巻, ５８１−５９１, ２００１．

(6) この課題の実施担当連絡者

氏名：木村昌三

電話：０８８−８４４−８３４８

FAX：０８８−８４４−８３６３

E-mail：skimura@cc.kochi-u.ac.jp