(2)実施機関名:東京大学地震研究所
(3)課題名 :台湾における衝突型プレート境界大地震発生メカニズムの研究
(4) 対応する新建議の項目:㈽.1.(2) 準備過程における地殻活動
(3) 断層周辺の微細構造と地殻流体の挙動の解
(5)「3. 具体的な課題提案の背景」の項目:
(2) プレート境界におけるカップリングの時空間変化
(3) 内陸活断層周辺における不均質な応力・歪場の成因
1999年台湾地震は、陸上部に出現した、衝突型プレート境界地震であるので、(2)、(3)の研究に関連した新しい項目として実施する。また、
(1) 広域応力場の形成メカニズム
(1)-3. 変形特性
(1)-3-1. 地殻・最上部マントルの変形特性
の項目とも深く関連している。
(6)関連する建議の項目:㈽.1.(2)イ、ウ、エ(4)ア、4.(4)(国際協力の推進)
(7)平成12年度までの研究成果と13年度計画の概要
(平成12年度)
・平成11に実施した余震観測データ、余効変動データを解析した。その結果、本地震は、台湾衝突体の付加体のなかにあるすべり面(デコルマ)とそこから立ち上がるランプ構造の境界部で発生し、余震は、滑りの大きいとこでは少なく、滑りの少ないところ、滑りの領域の外側で発生したことが明らかになった。
・衝突境界のテクトニクス、地質の調査を台湾で実施した。
・制御震源地震探査を2001年2月に台湾地震の震源域で実施して、地震波速度構造とその不均質性を解明する。火薬とバイブレータを用いた探査を行う予定で、平成12年12月現在、測線の選定を行い、台湾側との調整を行っている。
・余震観測:台湾中部で、東西に横断するリニアアレイを設定して余震および遠地の地震を観測する(2001年2−3月)。
(8)平成14年度の実施計画概要 (予算・人員規模を含む)
・ 余震観測を継続して、地震活動の推移と、余震を用いた地殻構造の研究を行う。
・ 平成12年度、13年度に取得した地震データの解析(地震波トモグラフィー法、反射波解析、レシーバー関数解析等)により、断層面の不均質性を解明する。
・ 本震のすべり分布、余震分布、断層面の速度分布の関連を解明して、強度分布を推定する手がかりを得る。
(研究組織)国内7名(地震研、東大大学院理学研究科、東北大大学院理学研究科)台湾7名
(9) 5ヶ年の到達目標に対する平成14年度の計画の位置づけ
平成12年度から14年度までに実施する計画の3年次。12年度に制御震源構造探査、地震観測、GPS観測を実施する。13年度は、データの解析と補足データの取得、14年度は成果のまとめを行う。衝突型プレート境界は、日本では伊豆、北海道日高などで類似の構造があるが、台湾ではそれらの構造が著しく、容易に観察できる。また、衝突型境界では、プレート沈み込み帯(海溝)での地震テクトニクスと類似の現象が陸上で観察できる点で、こうした研究を国外で行うことは、わが国の海溝型地震の発生機構解明に貢献できる。平成11年度、12年度に北海道日高で行われている「島弧地殻の変形過程の合同観測研究」との比較研究を実施する。国際協力の推進に寄与できる。
(10) この計画の実施担当連絡者
氏名:平田直
電話:03-3818-3697(直通) 03-5841-5712 (dial
in) 内線25712
FAX :03-5689-7234(地震予知研究推進センター)、03-3816-1159(事務室)
e-mail:hirata@eri.u-tokyo.ac.jp