(1) 課題番号:0905(昨年度0902に含めたものを再度分離)

 

(2) 実施機関名:名古屋大学

 

(3) 課題名:「精密制御震源(アクロス)の実用化と地下の常時モニター手法の確立」

 

(4) 対応する新建議の項目 

  III.3.(2) 観測技術開発

 

(5)「3. 具体的な課題提案の背景」の項目:

   (4)-1

 

(6) 関連する建議の項目

  1-(2)-ウ、1-(3)-ウ、3-(2)-ウ

 

(7) 平成12年度までの研究成果と13年度計画の概要

 淡路島において長期連続稼働実験を行った。2000年1月4日から運転を開始し、12月25日現在も運転中である。途中、雷などによる停電を除き問題なく連続運転出来ることが確かめられた。信号は近傍の800mおよび1700m孔底の地震計で連続受信され、P波とS波速度の連続測定を行った。2つの地震計間の地震波速度計測値のばらつきは100マイクロ秒程度であり、地震波走時の10^-4のオーダーとなっている。記録には降雨による影響が見られるが、それらのほとんどは震動装置近傍の地盤の弾性常数変化にともなうものと考えられ、震動装置近傍に設置した震動モニターによる補正は今後の課題である。なお、鳥取県西部地震によるコサイスミック、ポストサイスミックな変動がとらえられている。

平成13年度は、地震計アレイによるアクロス信号の受信法を確立するための実験を瑞浪の横孔においておこなう。地震計アレイの設置は平成12年中にすでに終了し、13年度は本格的実験を行う予定である。また地殻変動連続観測や水位変動との比較観測も行う。核燃料サイクル開発機構東濃地科学センターとの共同実験である。また平成13年度には長期運転で洗い出された問題点の解決を淡路島において行う。

 

(8) 平成14年度の実施計画概要 (予算・人員規模を含む)

アクロス震源装置による安定した送信実験を継続するとともに、平成13年度に導入した地震計アレイ記録装置による高分解能アンテナを用いた実験を立ち上げる。安定した震源を確立するためには震源関数のモデル化が必要であり、モデル化のためのシミュレーションを行う。また、淡路島においては、運用上の問題点を解決した後に、長期間連続観測を行い、降雨や地震震動などの影響評価をおこなう。瑞浪においてもアレイ実験を継続し、直下の不均質の影響や、歪み・地下水との関連を評価する。これらの実験を通じて、地下の速度モニター手法の実用化を図る。

 

(9) 5ヶ年の到達目標に対する平成14年度の計画の位置づけ

実用化のためにはより低周波で大きな力を発生させることのできる到達距離の長い震源、および複数のアレイによる受信装置が必須である。5年間で全体システムの実用化のめどをつける。そのための問題点を明らかにする実験と位置づける。

 

(10) この計画の実施担当連絡者

    氏名: 山岡 耕春

    電話: 052-789-3034

    FAX : 052-789-3047

    e-mail: yamaoka@seis.nagoya-u.ac.jp