(1)課題番号:0122,0123

(2)実施機関名:東京大学地震研究所

(3) 課題名:   (0122)歴史上の内陸被害地震の事例研究

                       (0123)先史・歴史津波の研究

 

(4) 本課題の5ヵ年計画の概要とその中での平成14年度までの成果:

(4-1) 「地震予知のための新たな観測研究計画の推進について」(以下、建議)の項目:

(4-2) 関連する「建議」の項目:

 

(4-3) 5ヵ年計画全体としてのこの研究課題の概要と到達目標」に対する到達した成果:

 

(5) 平成14年度成果の概要:

(5-1) 「平成12年度全体計画骨子の補足説明 3.具体的な課題提案の背景」のどの項目を実施したのか:

 

(5-2) 平成14年度項目別実施計画のどの項目を実施したのか:

 

(5-3) 平成14年度に実施された研究の概要:

 

史料地震研究

課題:再帰性の指摘される地震像の解明

1.宮城県沖地震の研究

 宮城県沖地震が約40年間隔で、きわめて相互に似通った地震として発生していることは従来から知られていた。この宮城県沖地震の地震像を鮮明にするために、平成14年度には、東北地方各県の県立図書館に出かけ、最近20年間に新たに刊行された各市町村誌のなかから近世以後に起きた宮城県沖地震に関する古文書史料を集積した。今回特に力を入れて集めた史料は、日記中の有感地震の記事である。約40年を1つの周期とする宮城県沖地震には、有感地震の活発さの上にもなんらかの周期性が認められるのではないか、と考えたからである。また、海岸部での小津波の記録も重視した。津波の記録は海底地変の存在を直接に証言し、震源に対する情報を与えてくれるからである。

 仙台平野の北上川流域、岩手県青森県で、このような日記史料を多数集積した。その時系列的、統計的議論を今後推進していきたい。また、大船渡市気仙沼市石巻市などで、江戸時代に起きた宮城県沖地震の津波記録を新たに発掘した。その理学的解釈も今後直ちに取りかかるべき課題としたい。

 

2.糸静線上に起きた地震の研究

 静岡県山梨県長野県新潟県と日本列島を縦断する糸魚川静岡線は、地形的に顕著な活断層系をなしているが、この断層の活動による過去の地震事例は余りよく知られていなかった。しかし、大正大町地震や、安政5年(1858)青木湖周辺の地震など、小規模な被害地震ではあるが、糸静線の局部的な活動による地震と見られる事例が存在する。14年度には、長野県大町市の郷土史研究家から、大正大町地震にかんする詳細な調査記録をはじめ、糸静線上あるいはその近辺に発生した歴史地震の記録を静岡県山梨県・および長野県大町において多数発掘した。

 

3.青木湖の予備調査

 青木湖は、糸静線上に湖域のまたがる湖であるが、高知大学の岡村らによって、音響測深による湖底堆積物の横断面調査が数年前に行われた。その結果に、糸静断層線、および、それから枝分かれした断層線に沿って互いにずれあった成層堆積構造が得られている。しかし、その成層構造を構成する個々の縞の絶対年代については決められてはいない。

 そこで、平成15年以後に、コアサンプル採取調査を行うものとして、平成14年度には、現地の予備視察を行い、湖周辺からの地滑り地形、断層線の連結状況などについて推定を行った。本格的な湖底堆積物による縞模様の年代評定は平成15年度以後の課題とする。

 

4.海溝型地震による歴史時代、先史時代の津波調査。

 歴史時代、先史時台の南海地震の再帰性を調べるため、高知県須崎市の桐間ケ池(きりまがいけ)の湖底鉛直コアサンプリングを行った。1960年チリ津波、1946年昭和南海地震、1707年宝永地震の津波を検出したほか、1498年明応東海地震とペアをなしておきたと見られる「明応南海地震」の津波によるものとおぼしい津波痕跡を検出した。

 

5.中央構造線に立て続けに起きた、慶長元年(1596)地震の解明

 京都大学の中西は、中央構造線にきわめて近い愛媛県松山市付近、および新居浜市で起きた慶長元年伊予豊後地震(慶長元年閏7月9日)によって被災した寺院の記録を緻密に調査した、(中西、2003、「地震」)。そのわずか4日後、慶長元年閏713日午前1時頃に今度は「伏見桃山の地震」地震が起きた。この地震の震度6の領域は京都付近にとどまらず、大阪、奈良、神戸市兵庫と須磨、さらに、和歌山市、淡路島千山千光寺、徳島県鳴門市撫養香川県東部の一宮にまでひろがっていることが判明した。この4日の差で生じた2回の地震、あるいはそれに加えて、閏7月12日の瓜生島消滅で名高い豊後の地震も加えれば3つの地震の震度6の範囲を合わせれば、ほぼ中央構造線の和歌山・大分間をほぼ網羅していることが判明した。

 

6.歴史地震研究会の活動

 全国の歴史地震研究者の相互研究成果の交流を目的として、毎年9月に「歴史地震研究会研究発表会」を主催しているが、平成14年9月には富山県立山町の立山カルデラ博物館、同所ホテルを会場として開催された。平成14年度末には、そのとき発表されたテーマを収めた論文集「歴史地震・第8号」を刊行する予定である。

 

(5-4) 当初設定した平成14年度の到達目標に対する成果の概要:

 

(5-5) 共同研究の有無:

 

(5-6) 平成14年度の成果に関連の深いもので、平成14年度に公表された成果:

 

(6) この課題の実施担当連絡者:

氏名:都司嘉宣

電話:03-5841-5724

FAX03-5689-7265

E-mailtsuji@eri.u-tokyo.ac.jp