(1) 課題番号　　1103　

(2) 実施機関名

　　九州大学・大学院理学研究院

(3) 課題名

　島弧地殻不均質に関する観測研究

-2002年西南日本地域における大学合同人工地震・自然地震調査研究-

(4) 対応する新建議の項目

１．地震発生に至る地殻活動解明のための観測研究の推進

(１) 定常的な広域地殻活動

(5)「3. 具体的な課題提案の背景」の項目：

(1)　広域的応力場の形成メカニズム

(1)-1．広域応力場の不均質性

(6) 関連する建議の項目

　1. (1)ウ (2)イ，ウ，エ，　　2. (1)オ

(7)平成14年度までの研究成果の概要

　平成11〜13年度は北海道日高衝突帯を含む領域の３次元的不均質構造を解明す

る目的で自然地震および人工地震による調査研究を実施した．

　平成14年度からは中国〜四国地域において．全国の研究者とともに西南日本人

工地震・自然地震合同観測調査を開始した．2000年鳥取県西部地震の活発な余震も多

く記録されており，地下の強い反射面に由来するフェーズが観測されている．

　また，8月には人工地震観測研究も行われ，10発の人工震源を1100点あまりの

記録計（うち800台がアメリカ製）を用いて観測を実施した．

(8) 平成15年度計画の概要

１．平成14年度からの中国地方の広域地震観測を継続する．

２．九州中部の布田川・日奈久断層地域を中心とした稠密な人工地震実験を実施する．

(9) 5ヶ年の到達目標に対する平成15年度の計画の位置づけ

１．平成14〜15年度実施される中国地方の広域地震観測では，西南日本地域の下

部に潜り込むフィリピン海プレートの形状，応力場を自然地震を使って把握する．

　これまでの四国〜四国沖における人工地震探査により，プレート境界面にかなり強

い反射層のあることが指摘されている．その物理的特性の空間的推移を中国地

方，日本海まで追跡する．このことは，seismogenic zoneの特性を知る上で，非常に重

要である．

２．布田川・日奈久断層地域は，九州地方の代表的な活断層として知られる断層

系で，その全長は100kmに達する．地震の危険がある活断層の全国調査を進める国

の地震調査委員会では，この断層系で今後３０年以内に最大M7.5の地震の発生確率は

「ほぼ0〜6%」としており，全国的にも地震発生の確率が「高い」評価を与えてい

る．また1999年より日奈久断層北端部で活発な群発地震が発生しており，歪みエネル

ギーの蓄積が懸念されている．

平成１５年度は，この地域において稠密な人工地震観測を実施し，精密な地殻

構造を求めて震源の再決定を行うとともに，反射法的手法を用いて地震発生場の不均

質性を把握し，地震発生のメカニズムを解明をめざす．

　これらの調査研究により，5ヶ年の到達目標としている広域応力場の不均質性

や形成メカニズムを把握して，地震発生のメカニズムの解明する．

(10) この計画の実施担当連絡者

氏名：松島　健

電話：0957-62-6621，FAX：0957-63-0225

E-Mail: mat@sevo.kyushu-u.ac.jp