(1) 課題番号 ：0220

(2) 実施機関名：京都大学防災研究所

(3) 課題名：日本列島周辺の非地震性すべりの準リアルタイム・モニタリング

(4) 対応する新建議の項目

　　　１．地震発生に至る地殻活動解明のための観測研究の推進

　　（２）準備過程における地殻活動

　　　イ．地震多発地域での応力蓄積過程とゆらぎの検出

(5)「3. 具体的な課題提案の背景」の項目：

　(2) プレート境界におけるカップリングの時空間変化

　(2)-1 プレート境界地震の予測

(6) 関連する建議の項目：２（１）イ

(7) 平成14年度までの研究成果の概要

　本研究計画に限らないが、「地震予知のための新たな観測研究計画」に関わる多くの研究の蓄積により、この５ヶ年計画の間に、日本列島で、1989年東京湾サイレント地震、1996年房総沖サイレント地震、1997年豊後水道サイレント地震、1999年銚子沖サイレント地震、2000年銚子沖サイレント地震、2001-2002年東海サイレント地震、2002年房総沖サイレント地震などの発見事例が蓄積されつつある。

これらの発見事例の範囲内では次のことが言える。

(7-1) サイレント地震や余効すべりは、すべて、地震アスペリティと棲み分けている。

(7-2) サイレント地震はすべて、地震発生帯と安定すべり域の遷移帯に起こった。

(7-3) サイレント地震のすべり量は２０cm以下で、Mw８クラスのアスペリティのすべり量より１桁小さく、ストレスドロップも１桁小さい。

(7-4) Mw７以上、時定数「時」のオーダーのサイレント地震の発見事例は無い。　GPSデータとHi-net傾斜計記録の同時解析によって発見事例を増やし、震源モデルを求める同時インバージョンの分解能を上げる試みはまだ進捗していない。

(8) 平成15年度計画の概要

　GPSデータは空間的コヒレンシーが非常に高い。この性質を利用して、GPSデータのノイズレベルを下げ、サイレント地震発見の可能性を高める。GPSデータとHi-net傾斜計記録の同時解析に進む。

(9) 5ヶ年の到達目標に対する平成15年度の計画の位置づけ

　(7-1)から(7-4)のことが明らかになったが、次の要点が未解決である。

(9-1) 自然現象理解の基礎は、通常の地震のグーテンベルグ・リヒターの関係の様な頻度分布である。サイレント地震の場合、どのような法則性が成り立つのか分からない。

(9-2) 遷移帯から地震アスペリティに向かって拡大していく高速スロー地震は無いのか？

　これらの問題を解決するためには、サイレント地震の発見事例を増やし、インバージョンの分解能を挙げることが不可欠である。

(10)この計画の実施担当連絡者

氏名：川崎一朗

電話：0774-38-4220

FAX ：0774-38-4239

e-mail : kawasaki@rcep.dpri.kyoto-u.ac.jp