(1) 課題番号

0502.3

(2) 実施機関・部局名

東北大学大学院・理学研究科

(3) 実施小課題名

稠密GPS観測による断層近傍の歪場の時空間変化の推定

(4) 対応する新建議の項目

1．(2) 準備過程における地殻活動

(5) 「3．具体的な課題提案の背景」の項目：

(3) 内陸活断層周辺における不均質な応力・歪場の成因

(3)-1. 個々の断層への応力蓄積過程

および

(3)-2. 内陸の歪集中帯の変形様式

(6) 関連する建議の項目：

1．(2) イ・ウ・エ

(7) 平成14年度までの研究成果の概要

平成11年度には，平成10年9月の岩手県内陸北部の地震(M6.1)に伴って観測された地表変位場から，インバージョンにより断層モデルの推定を行い，地震学的データのインバージョンにより得られたモデルと調和的な結果が得られた．平成12年度は，データ解析手法として精密単独測位(PPP)法を新たに導入しその精度評価を行った．この方法は従来の解析法のように基準点を設定せず，各観測点の位置を独立に推定する方法であるため，従来の解析法でみられた基準点の局所変動の影響を受けない．平成13年度には脊梁山地周辺地域を中心とする稠密観測網にPPP法を適用した結果，同地域が東西歪の集中帯であることが明らかとなった．14年度には，GPSデータの上下成分に着目した解析を行い，GPSによる上下変動が水準測量の結果と調和的であることを示した．

(8) 平成15年度の実施計画概要

実際の歪場からプレート間相互作用に伴なう広域歪場の影響を除去する手法の開発を行う．この研究のためには，プレート間の相互作用による影響を正しく見積もる必要があるが，水平成分の観測だけでは困難であった．平成14年度の成果により，GPS観測データの上下成分が使用できる目処がついたため，プレートの影響と内陸の影響を分離する展望が開けつつある．

(9) 5ヶ年の到達目標に対する平成15年度の計画の位置づけ

断層近傍の稠密GPS観測により，歪場の時空間的変化を明らかにし，広域歪場との比較により，断層近傍特有の歪変化を検出することを5ヶ年の目的としてきた．非地震時の歪場には，プレート間相互作用による広域歪場が含まれており，内陸地殻内のすべりによる局所的歪場を議論する際には，これを取り除く必要がある．平成15年度にはその手法を確立し，非地震時における断層近傍のモデル化を高精度で行なう．

また，これが実現できれば，内陸の歪場における非弾性的影響等について詳しく議論できるようになり，内陸地震発生のモデル構築における重要な拘束条件になると期待される．

(10) この課題の実施担当連絡者

氏名：三浦　哲

電話：022-225-1950

FAX：022-264-3292

e-mail: miura@aob.geophys.tohoku.ac.jp