(1)課題番号: 0702
(2)実施機関名: 東京大学大学院理学系研究科
(3)課題名: 東海及びその周辺地域における地下水観測研究
(4)対応する新建議の項目
2.地殻活動モニタリングシステム高度化のための観測研究の推進
(2) 特定域地殻活動モニタリングシステム
(5)「3.具体的な課題提案の背景」の項目
(2) プレート境界におけるカップリングの時空間変化
(2)-2 テストフィールド
(2)-2-2 東海・南海
(6)関連する建議の項目
2(2)ア、イ
(7)平成14年度までの研究成果の概要
平成11年度に関東東海地域の3観測点に、気体交換モジュールを用いて地下帯水層から直接ガスのみを採取し、四重極質量分析装置とラドン測定装置により溶存ガス成分を測定するシステムを導入し、平成12年度以降、連続運転をするためのテストをくり返し、非揚水型地下水溶存ガス観測システムの大幅な改良を行った。具体的には、発泡性地下水の揚水不全、気体交換モジュールの構造的脆弱性、の問題を改善した。また、気体交換モジュールにより抽出されたガスに含まれる水分の結露の問題に対して解決策を見出した。さらに、データ収集システムも再構築を行なった。改良途中のデータではあるが、御前崎観測井では潮汐に応答するCH4の変化、竜洋観測井では潮汐に応答するCO2の変化をとらえることができた。
(8)平成15年度計画の概要
抽出ガス中の水分の結露の問題が解決すれば、安定した観測が可能になる。これまでは結露させない方法を考えていたが、これからは測定系にガスを導入する前に結露させて水分を除く方法を検討する。さらに、自動データ解析システムの稼動を目指す。既存の地下水観測点5地点に設置した非揚水型の溶存ガス測定装置の運転を定常的に継続し行い、測定される多成分の時系列変動を1日以下の短期変動から1年単位以上の長期変動まで、その原因を解明し、地震の前兆を識別する方法を検討する。
(9)5ヶ年の到達目標に対する平成15年度の計画の位置づけ
本研究計画では、他に類を見ない地下水溶存ガスの連続測定を実現することである。これにより、帯水層の物理パラメタ測定と地下水の化学成分の測定が同時に行える。この観測によって期待できることは、起源・挙動・化学的性質の異なる、多成分の地下水溶存ガスの時間変化を統一的に解釈し、地震直前過程に観測される地下水の変化の原因解明へつなげる、ことである。そのようなシステムは、(1)帯水層に影響を与えないように帯水層から直接揚水する、(2)地下水から溶存ガスを抽出する、(3)抽出ガスの多成分同時連続測定を行う、(4)測定データを集約・整理し、総合的な解析を行う、という段階を必要とする。これらの個々の段階は、これまでの年度で実現することができた。ところが最も問題となったのが(2)から(3)への間、つまり、ガス中の水分が分析計内で結露することであった。従って、今年度の計画は、上記の4段階を一つにつなげ、システムとして完成させるのに重要な意味を持っている。
(10)この計画の実施担当連絡者
氏名:野津憲治
電話:03-5841-4624
FAX:03-5841-4119
e-mail: notsu@eqchem.s.-u-tokyo.ac.jp