「観測技術開発」15年度の研究実施計画
「観測技術開発」計画推進部会
平成15年1月13日
平成15年度は、今まで推進してきた観測技術を実践配備をしつつ性能を検証していく。
(a)海底諸観測 (b)ボアホールによる深部計測(c)正弦波信号源による地下モニターのいずれにおいてもかなり実践を意識した研究計画となっている.
特に(b)と(c)との連係を緊密にとり、岩盤の状態の時間変動を総合的に計測する手法を確立する必要がある.そのことにより、地殻変動連続観測において従来評価できなかった岩盤の影響を補正する方法につながる可能性がある。
(a) 海底諸観測
平成11年度からの各種の測器の高度化を継続する.また海底測位および海底測距に関しては三陸沖において繰り返し観測を行い、プレート間カップリングの変化等にともなう海底地殻変動の検出を試みる.
また東海沖においてもプレートカップリングの不均質性と時間変動の解明をめざした実践的な海底測位観測を行う。
(b) ボアホールによる深部計測
絶対応力測定の主力となってきた水圧破砕法にたいする疑念が過去10年以上にわたって提出され続けている。今年度は水圧破砕法のデータ解釈にかんする研究集会によって、その問題点と解決法に関する議論を深めるとともに、水圧破砕法にかわる乾式破砕法の開発に着手する。
ボアホールを利用した応力解放法に関して、ボーリングによる設置工法の問題点を明らかにして、より理想的な設置法を開発するとともに、測定効率向上のため磁気カプラー方式による電力補充及びデータ取得法を開発する。
精密弾性波測定に関して、深部測定のためのボアホールを用いた測定のための発振子の開発をおこなう。この手法は岩盤を既知の材料として,その応答すなわち経時変化を測ることにより,岩盤と弾性波測定系を組み合わせた精密応力計を作ると考えることもできる。これにより地下観測壕を必要としないシステムが可能となる.
(c) 正弦波信号源による地下モニター
平成14年度までの計画を継続するとともに、その結果に基づき、東海の下に沈み込むプレート上面からの反射をとらえるための明確な計画を立案する。特に、(1)
今まで開発してきた震源周辺岩盤の補正と時間変動解析法から、長期の安定した地震波速度変動モニター法として提案する。(2)アレイ地震計を用いて長期的な時間変
化を調べる。(3)HiNetの記録を解析し、HiNetをアクロスの受信点として用いることの有効性と問題点を明らかにする。(4)地盤と震源の弾性波放射効率から東海における具体的観測計画を明らかにする。