(1) 課題番号: 0309

(2) 実施機関・部局名:北海道大学大学院理学研究科附属地震火山研究観測センター

(3) 課題名:極東ロシアでの地殻活動観測

(4) 対応する新建議の項目

4.(4)国際協力の推進

(5) 「3.具体的な課題提案の背景」の項目

(1)広域応力場の形成メカニズム

(1)・2.境界条件

(1)・2・2.日本列島の西側の境界条件

(6) 関連する新建議の他の項目 なし

(7) 平成14年度までの研究成果の概要

平成89年から、カムチャッカ州において、10点、および、ウラジオストックで1点のGPS連続観測を進めてきた.また、12年度までは、サハリン及びハバロフスクでのGPS臨時観測を実施した.その結果、アムールプレートの東進が確立し、日本海東縁部の大地震の発生の原因と繰り返し間隔に対する一定の評価を与えることができた.また、サハリン州の地震観測所との間で、地震読み取りデータの交換を、1-2日の遅れでのインターネット経由で行い、南千島および北海道北方の震源決定精度の向上に努めてきた.14年度は,GPS観測においては、ロシアの関税法の改正も重なり、ハバロフスクでの観測は中断している。しかしながら、ウラジオストックを含む沿海州での6地点の繰り返し観測網が確立し、観測を継続できている。また、地震データ交換においても、インターネットによる実時間波形データ転送実験を行い、数10点分のデータ交換の見通しはえられた。問題は、ロシア側とのより強力な共同観測の実施であるが、そのためには財政的な裏づけの或る計画の推進を必要とする。

(8) 平成15年度計画の概要

現在、ハバロフスク州当局とのGPS観測再開ための事務的手続きを進めている。それの進捗にあわせて、この地域での観測の再開を進める。同時に、極東ロシア地域でのGPS観測と地震データ交換を継続する.アムールプレートの日本海東縁部での収束速度決定の精度を上げるために、特に、沿海州ならびに南サハリンでのGPS観測網の増設と繰り返し観測の充実を進める.少ない受信機で、多数の観測点のデータを効率よく集めるために、PC収録方式による12ヶ月の観測を移動する方式で展開する.また、カムチャッカでの連続観測により、日本同様、大地震後のスロースリップや、サイレント地震の検知も可能になっており、再度、これまでのデータ解析を進める予定である.北海道北方延長と南千島での震源決定精度向上を図る上で、南サハリンおよび南千島での無人・長期地震観測手法の検討を進めていく.条件の厳しい場所であり、そのための技術開発を進める。

(9) 5ヵ年の到達目標に対する平成15年度の計画の位置付け

本計画は、最終的には、地球上でもっともプレート運動の早い北太平洋地域、東北日本弧・千島弧・カムチャッカ・アリューシャン弧・アラスカを含む沈み込み帯の地震・地殻変動の国際共同観測体制を作り、データの流通・交換を進めることを目標に、共同観測を進めてきた.長周期地震データのアラスカとのデータ交換、GPS観測網の展開・稠密観測、サハリンとの地震データの交換等、第1次的な成果は上がりつつある. 15年度末には、これまでの研究成果の取りまとめを行い、引き続く計画策定を検討する.

(10)この課題の実施担当連絡者

笠原 稔 電話011-706-3591FAX011-746-7404 e-mail: mkasa@eos.hokudai.ac.jp