第4章 「直前課程における地殻活動」研究計画

 

1.はじめに

 

 地震発生の直前予知のためには,地震発生準備課程の最終段階において活性化する物理・化学過程をモデル化し,その妥当性を検証することが必要である.そのために,前駆的現象の発現機構に関する観測研究,前駆的現象検出のための技術開発,前駆的現象の発現メカニズムを解明するための実験的・理論的研究を以下の指針で進めてきた.

地震予知研究において,計算機によるシミュレーション研究は今後ますます重要な位置を占めると考えられる.それが十分な予測能力を持つためには,破壊の素過程を理解した上で,地震発生場における不均質断層上の構成法則(関係)の空間分布を物理的・地学的に正しく把握する必要がある.その意味で室内実験の重要性は増している.そこで,とくに(1)せん断破壊過程を支配する構成法則の地震発生場環境要因依存性,(2)震源環境下における摩擦強度回復の物理機構, (3)アスペリティと非地震性領域の棲み分けと相互作用,などを実験的・理論的に明らかにすることを目指した.

室内実験の空間スケールは現実の地震発生ゾーンのそれとは非常にかけ離れているから,室内実験で得られた知見が実際の地震発生にどのように結びつくのか,常に野外観測によって検証をおこなっていくべきである.また,現実の地震発生過程における野外観測で得られた知見からのフィードバックを受けて,室内実験実施項目を設けるべきであろう.室内実験と現実地震発生ゾーンのスケールギャップをうめるためには,鉱山のやまはね現象に伴う様々な物理過程を至近距離で詳細に調べる半制御地震実験が効果的であり,南アフリカ金鉱山において地震計,歪計等のアレイからなる監視観測を実施してきた.また,地震発生直前に生じていると考えられる地下間隙水の流動・応力変化・温度変化を直接認知するため,それに伴う電磁気学的・測地学的・地球化学的諸観測量の時間変化をとらえ,室内実験および野外観測の両面からつめることが必要である.これまでは独立に議論されることの多かった電磁気・地球化学データと,技術革新の目覚しい測地学的データ(GPS,SAR,絶対重力計など)および地震波広帯域記録をつきあわせることが肝要であり,それによって,地殻内流体の移動を伴った新しい地殻活動のイメージが構築出来る可能性がある.このため,伊豆諸島,伊豆半島,東海地域などで電磁気学的,測地学的総合野外観測を実施する一方で,破壊に伴う電磁気シグナル発生メカニズムの解明を目指す室内実験,理論的研究を推進した.また,アクロス等の野外実験結果の解釈に重要な指針を与えるため,断層面を通過する透過波動を用いて震源核検出可能性を判定するための室内実験を実施してきた.また,一般に地震予知可能性を論じるため,砂山くずし現象の実験的研究とその理論的検証をおし進めてきた.

 


2.主な研究課題の成果

 

2-1.震源核の定量的モデリング

2-1-1.せん断破壊過程を支配する構成法則の地震発生場環境要因依存性

(東京大学地震研究所〔課題番号:0109〕,JAMSTECとの共同研究)

(a)花崗岩のせん断破損構成則の環境要因依存性

 温度・圧力・流体圧・歪み速度などの環境条件がせん断破壊構成則に与える影響を定量的に評価した.花崗岩を用いた場合,深さ10km(温度300℃以下)以浅の温度・圧力条件下では,せん断破壊強度は線形に増加し,破壊過程の安定性はほぼ一定であった.一方,深さ10km以深ではせん断強度は減少し,破壊過程の安定性が深さ(主に温度)とともに増加した(図1).実験後の試料観察により黒雲母と石英の塑性流動が,脆性破壊と徐々に混在化することで上記の変化が生じたことを示した.地殻内の微小地震活動や大地震の破壊領域の下限が300℃の等温線にほぼ一致するのは,温度の増加により破壊過程の安定性が増すことが主な原因であると考察した[Kato et al., 2003a,加藤・大中, 2000].さらに,構成則パラメータを温度・圧力の経験的関数として導出することに成功した[Kato et al., 2004b].また,歪み速度の減少に対し,せん断強度が減少し,破壊過程の安定性が増すことを明らかにした.破壊過程の歪み速度依存性は摩擦のそれと類似しており,両者を律速する物理現象は共通していると考えられる.乾燥試料と湿潤試料を用いた比較実験により,湿潤状態の方が化学的効果により破壊強度,破壊過程の安定性,歪み速度依存性に顕著な変化をもたらされることを明示した[Kato et al., 2003b].

(b)過去の震源断層周辺の水理特性とせん断破壊過程の性質

 陸上付加体に存在する過去の断層帯周辺の岩石を用いて,震源域に相当する温度・圧力条件下でせん断破壊実験・透水率測定をおこなった[Kato et al., 2003c, 2004a, 2004c].断層帯中のせん断集中部は透水率が高いが,せん断集中帯を覆うコヒーレント(整然層)な砂岩は逆の性質を有することを示した.これらの結果をふまえ,透水率の低いコヒーレントな砂岩がキャップロックとなり,沈み込む堆積物から脱水する水がトラップされることで深部反射面(DSR)が形成されるというモデルを提唱した[Kato et al., 2004a].さらに破壊実験により,せん断集中部とメランジュ中の泥岩は周囲の岩石よりもせん断破壊強度が弱く,且つ脆性領域の花崗岩にくらべ破壊過程の安定性が大きいことを示した.せん断集中部やメランジュは硬いコヒーレントな砂岩と海洋地殻に挟まれたまま,低応力下で安定的に歪みを解放する可能性を指摘した.

(c)アプライトを用いたせん断破壊実験−黒雲母の花崗岩へ及ぼす影響

 黒雲母をほとんど含まないアプライトを用いて花崗岩との比較実験を行なった.破壊強度は150℃以下ではほぼ一定であるが,150℃以上では温度の増加にともない徐々に減少する.同時に,せん断破損過程の安定性が150℃以上では増加する.顕微鏡観察により,低温では主に一つのせん断面で破壊が生じているのに対し,高温では微小クラックが多数発生し厚みのある破砕帯を構成することがわかった.温度上昇により粒子破砕が発達しCataclastic Flowを引き起こしたと考えられる.花崗岩では粒子破砕が発生する圧力よりも低い圧力で黒雲母の塑性変形が生じ,破壊面の局在化を引き起こすと推定される.

 

2-1-2. 震源環境下における摩擦強度回復の物理機構

 既存断層で地震が繰り返すには,破壊した断層の摩擦強度が回復しなければならない.また,強度の時間的回復は,断層運動が非地震性クリープ滑りになるか地震−固着を繰り返すかを決める強度の速度依存性の原因でもある.断層挙動のモデリングは,室温で短時間に立ち上がるタイプのメカニズムによる強度回復の観察を用いていたが,大地震のおこる150-300度程度の熱水環境では異なる化学過程による強度回復が励起されうる.本研究では,実験室で200度程度の熱水に溶け出した鉱物が間隙水中を移動,再沈殿することによる新たな強度回復過程を発見した[Nakatani and Scholz, 2004a].この過程は飽和した溶液中でも局所的な溶解度不均質を利用して進行することがわかったので自然環境下においても幅広い条件で有効であると期待される.溶解輸送型強度回復が大きく現れ始める臨界時間は,室温型のメカニズムより数桁長い(図2).従来このような現象はもっと高い温度に限られると思われていたが,それは,単に実験時間が十分でなかったためと思われる.

 さらに,臨界時間の温度依存性や強度回復の大きさを,素過程である溶解輸送過程から定量的にモデリングし,実験室での観察と整合的であることが確かめられた[Nakatani and Scholz, 2004b].強度回復の素過程は化学的なものであるから,様々な鉱物種が関与し,また実験時間よりずっと長い100-1000年のサイクルで活動する地震断層への適用のためには,このような実験事実の物理的理解が欠かせない.

 

2-1-3.アスペリティと非地震性領域の棲み分けと相互作用

 既往大地震の破壊過程の研究により,アスペリティは場所に固有であること,アスペリティと非地震性すべり領域とが棲み分けているらしいことがわかってきた.また,GPSデータなどから東海地域のプレート境界では,非地震性すべりが間欠的に発生していた可能性が示された.本課題は,室内実験と数値実験によりアスペリティ間の相互作用,およびアスペリティと非地震性すべり領域との相互作用について明らかにすることを目指して,H12年度より開始した.

 大型剪断試験機を用い,長さ1mの花崗岩の模擬断層面にふたつのアスペリティを生成させて固着すべり実験を行い,アスペリティの強度比によって,ひとつのアスペリティのみが破壊しもう一方のアスペリティが破壊を停止させるシングルイベントと,両方が連動して破壊するダブルイベントとが交互に繰り返し起こることを示した[Yoshida and Kato, 2001].また,模擬断層面のうち,半分の50cmの領域に薄いテフロンシートを挟み速度・状態依存摩擦構成則パラメータのa-bが負となるようにし,残り半分の領域は花崗岩どうしを直接接触させa-bが正となるようにして実験を行った.a-b<0の領域はアスペリティ的に振舞い,固着すべりを起こすが,a-b>0の領域では,アスペリティでの動的すべりにより応力が急激に上がり,それを緩和しながら顕著な余効すべりが起こった.この非地震性すべり領域でも,アスペリティでの動的すべりに連動し地震時すべりを起こすが,地震時すべり量はアスペリティから離れるほど小さくなっている.

 状態・速度依存摩擦構成則を仮定し,二つのブロックをバネで連結し,ドライバーをゆっくり動かしていくモデルを使った数値実験を行い,プレート境界で見られる多様なすべりモードの棲み分けが摩擦パラメータによって規定されており,パラメータ空間上で図3のように4つのregimeに分類できることを示した[Yoshida and Kato, 2003; Yoshida et al., 2004].kはシステムのばね定数,kcは摩擦パラメータで決まる臨界ばね定数である.regime1:k>kcでありアスペリティとして振る舞う.自ら動的破壊に移行するポテンシャルを有しており,動的破壊の前にプレスリップが生ずる.regime 2:k<kcであるが,安定・不安定境界に近い.隣りのブロックが動的破壊を起こすとトリガーされて応力降下を伴う動的すべりを起こす(図4).その後固着しているが,応力があるレベルまで蓄積すると,定常値の周りですべり速度や応力が振動を始め,やがて定常状態へ収束していく.このような間欠的な非地震性すべりが,東海地域で検出されている準静的すべりに対応しているかもしれない.regime 3:regime 2と本質的には同様の振舞いをするが,振動することなく定常状態にスムーズに収束する.regime 4:a-b>0であり,固着ステージがない.隣りのブロックの動的すべりにより急激に応力荷重がなされ,その応力を緩和しながら余効すべりを起こす.相互作用が強い場合,隣りのブロックがすべるとつられて動的すべりを起こすこともある.

 また,適当な摩擦パラメータを仮定すると,室内実験でみられた余効すべりを定量的に再現できることも示した.

  ふたつのブロックモデルにおいて古典的は最大静摩擦と動摩擦を仮定し,相互作用によってカオス的に振る舞うことがあることが報告されているが,その検討を行った.その結果,報告されているカオスの状態では,実は強い規則性が見られ,特に大イベントについては高い確率で予測可能であることを示した.また,瞬間的に強度回復するという非現実的な仮定を取り除くと,多くのカオス解が周期解に変わることを明らかにした.

 

2-2.破壊に伴う電磁気シグナル発生のメカニズムの解明

 間隙水存在下で岩石破壊実験を行い,変形に伴って発生する電流が,破壊前のダイラタンシーの成長,およびそれにより引き起こされる間隙水の移動と非常に強い相関をもつことを示し,界面動電効果によって破壊前に電流が発生することを実証した[Yoshida, 2001].また,シグナルの強さを規定する流動電流係数の透水率依存性,周波数依存性,温度依存性を調べた.

 石英を含む岩石内で破壊などにより応力変化が生ずると圧電効果により電磁放射(EME)が起こる.湿潤状態では抵抗率が非常に小さいため,圧電効果で分極しても瞬時に緩和されるので,湿潤状態では乾燥状態に比べ一般的にはEMEは出にくいと考えられていた.しかし,AEに伴って発生するEMEは,応力変化の速度が非常に速く電気的緩和の時定数より短周期成分をもち,乾燥状態のときとそれほど違わない頻度で検出できることを確かめた[Yoshida and Ogawa, 2004].

 

2-3.南アフリカ金鉱山における地震予知の半制御実験

(京都大学防災研究所〔課題番号:0209〕,南アフリカ金鉱山における半制御地震発生実験国際共同グループによる共同研究)

 南アフリカの金鉱山において,M2−3クラスの地震を,地震計・歪計等のアレイからなる観測網で至近距離において記録し,その震源核形成過程を明らかにする.

 南アフリカ金鉱山の地下約2600m,東西南北約200m×200mの領域に設置した9つの3成分加速度計と4つの3成分歪計(石井式)から成る観測網からのデータの解析により,以下の成果が得られた.震源距離約100mでM2の地震が発生し,地震前2週間に数十個の前震が記録された.震源域において発生をはさんで約4ヶ月間に観測された約300個の地震を用いて,b値がM2の地震後大きくなり,応力降下量やエネルギーインデックスは,M2の地震後小さくなったことを見いだした.これらは,震源域におけるせん断応力の減少を示していると考えられる.さらに前震活動の解析から,M2の地震発生前に前震の発生数が加速度的に増加し,M2の地震の発生直前の数日の間に,エネルギーインデックスが低下したことが示唆された(図5).これらの観測結果は,M2の地震の発生直前に,震源域において,既に応力緩和が始まっていた可能性を示している.M2の震源は,一番近い歪計からでも約100m(断層サイズの4倍)と「遠く」,歪は15分間隔12bitサンプリングでしか記録されていなかったため,地震波形データの解析から推定された,地震の直前の変化は検出できなかった.

M3級の地震が発生する可能性の高い断層が存在するBambanani鉱山の地下約2.4kmにおけるフィールドで,25Hz 24bitサンプリングによる歪計1点による試験的な観測を開始した.2002年2月に発生したM3については,データ通信のトラブルにより地震直前および地震時は欠測であったが,震源距離約100mのM2.5(暫定)にともなう歪変化が捉えられた(図6).地震時の10-4 の程度の歪ステップや余効変動など,M2を越える地震について,前後の歪変化が初めて完全に捉えられたが,地震発生直前には他の地震による変動が重なっており,コサイスミックなステップと同一のセンスを持つ顕著な異常変化は,存在していたとしても分離することは難しかった.

 平成14年度から,新たにMponeng鉱山, Tau Tona鉱山で地震計・歪計・変位計のアレイからなる観測網の展開を始め,M3クラスの発生を待ちかまえているところである.

 M2の前震活動についての解析結果は,M2の地震の発生直前に,震源域において既に応力緩和が始まっていた可能性を示している.震源核形成過程を地震活動から捉えた可能性があり重要である.しかしながら,歪計によって異常な変化を捉えることはできなかったため,これは状況証拠による推定に過ぎない.また,エネルギーインデックスの推定にも問題が残っている.25Hz 24bitサンプリングの試験観測によりM2.5の前後の歪変化が捉えられたことにより,今後の本観測結果が大いに期待される.

 M2−3クラスの地震の震源核形成過程を明らかにするという目標について,地震計ではそれを捉えた可能性があるが,歪計では顕著な変動を捉えることができなかった.そのため,地震データから推定された異常変化が震源核形成過程のためであるかどうかは結論づけられなかった.今後は,至近距離,多点における精度良い観測により,歪計等によってM3クラスの地震の震源核形成過程を捉えたい.

 

2-4.野外観測

2-4-1.電磁気観測

(東京大学地震研究所〔課題番号:0110〕,東京工業大学理工学研究科〔課題番号:0803〕,北海道大学大学院理学研究科附属地震火山研究観測センター〔課題番号:0307〕,京都大学防災研究所,気象庁地磁気観測所,東海大学との共同研究)

電磁場の時間変化を追うことによって,地下間隙水の流動(流動電位),応力の変化(ピエゾ磁気効果),温度構造の変化(熱磁気効果)が捉えられ得る.また,比抵抗構造の時間変化を捉えることは,水の存在状況や温度などの変化を明らかにすることにつながる.一方,近年の測地学的技術革新(GPSSAR,絶対重力計など)や,広帯域地震計の普及によって,従来では観測にかからなかった微細な変動や長周期の変動が空間分布を持った形で捉えられるようになった.そこで,伊豆半島東部地域・伊豆諸島域・東海・首都圏地域において総合的な電磁場連続観測を行い,得られたデータと上記の新しい観測データとを照合することによって,物理的解釈が可能な異常変化を捉え,従来の地震学的描像からだけでは得られなかった地殻内流体の移動を伴った新しい地殻活動のイメージを構築することを目指した.

a) 三宅島における観測

 三宅島2000年活動において,三宅島内において顕著な全磁力変化を捉えることに成功し,噴火前の消磁や陥没孔形成前の準備過程,陥没孔拡大の詳細過程を明らかにした.また,傾斜ステップ時の長周期地震波形に相似した自然電位変動(図7)や8/18の大噴火に伴った自然電位変化を捉えることに成功し,傾斜ステップに対応して水が周囲に押し出されていたことや大噴火後の熱水対流系の変化を指摘した.

b) 東海地方における観測

 従来東海地方では,1988年より,西から春野,相良,俵峰,篠坂(富士宮)の4地点において全磁力連続観測を実施してきた.東海地方において顕著な地殻変動(ゆっくりすべり)が起こった2000年を境として,静岡市俵峰観測点において全磁力変動トレンドが減少から増加に転じ,その後2002年半ばより再び減少を始めた.2000年以前に俵峰の全磁力が減少していた期間,その東側では増加傾向,南西側では減少傾向となっていたため,春野−俵峰間<舟が窪>,俵峰−篠坂(富士宮)間<奥山>に新たに2点の観測点を追加し,全磁力変動の時空間分布の把握を図った.2002年半ば以降の減少は,舟が窪や奥山,篠坂(富士宮)観測点においても観測されている.

c) 伊豆半島における観測

 伊豆の全磁力には,各測点によって振幅の異なる年周変化が認められた.各磁場センサー近傍のローカルな(10m四方)磁化不均質を明らかにすることにより,この年周変化がセンサー近傍のごく浅い部分の磁化不均質と地下温度の変動による消帯磁によって説明できることが明らかとなった.従来,この年周的変化と伊豆東方沖群発地震活動との関連性を指摘していたが,年周変化を正確に見積もった上で議論しないと誤った結論を導き出す可能性が指摘された.一方,年周変化のほかに,数年にわたるゆっくりとした磁場変動が観測されている.この種の変化の代表的なものとして,伊東市北部,御石ヶ沢観測点周辺で観測された1998年までの顕著な全磁力減少(-30nT/5年間,図8)があげられる.通常この種の変化の原因とされる熱消磁では,北側正/南側負の対をなした変化となるが,北側での正変化が認められず,依然としてその変化の原因は不明である.ただ,変化が国土地理院の潮位観測から予測される地域の隆起運動と同期していることと,この御石ヶ沢観測点周辺が顕著な磁気異常域に位置していることから,この顕著な変化が実は応力変化によるピエゾ磁気効果が磁気異常によって増幅されてとらえられた可能性が高い.

 時間領域電磁(TDEM)比抵抗探査を行った結果,1次元解析の結果ではあるが北側地域にあたる伊東市付近の表層数kmは非常に抵抗が低く湯ヶ島層の分布を見ているらしいこと,南側は全体として高い比抵抗値を示すことを明らかにした.また,比抵抗変化を捉えるため,伊東市奥野において1994年に実施され,しばらく観測が中断していた,DC法に基づいた比抵抗連続観測を2002年より再開し,見掛け比抵抗にして数%程度の変動が捉えられることを実証した.落雷などにより,再開後も何度か観測は中断したが,測定器設置環境の改善と測定器自身の改良により,現時点では連続観測データが得られている.その結果,地殻活動が活発であった1994年当時に比べ,見掛け比抵抗にして約5%程度比抵抗が上昇していることが明らかとなった.

d)北海道地域における観測

北海道地域においては,1997年以来,北海道東部虹別,えりも地域において地磁気,地電位の変動観測を行ってきた.2000年からは,根室,厚岸.浦幌で,同一地域に複数の観測点を配置する地電位変動観測を開始し,自然現象のより確かな把握をめざしている.地磁気変動観測も北海道内で5地点あり,女満別地磁気観測所のデータも含め,ローカルな変動とグローバルな変動とを見分けることが可能となっている.一方,1970年代から北海道東部において全磁力観測が行われており,応力変化に伴う地磁気の変化について様々な研究が行われてきた.また,2002年度からはVHF帯の電波伝播異常と地震の直前過程との関係を調べるために,高精度な測定器の開発,複数の観測点での観測による異常発生地域の絞込みの可能性を検討してきた.

 

 以上のように,水の存在状況と移動,応力,地下温度構造などに独特の感度をもった電磁気観測を行うことによって,地震学的観測や測地学的観測から得られる力学的情報に新たな知見を加え,地震発生直前に励起される様々な現象の検出とその物理メカニズムの解明をめざした.

 三宅島での観測では,温度構造変化や磁化物質損失を原因とする全磁力変動のほか,熱水系の変化や水の移動によって電場変動が起きることが確かめられた.東海地方や伊豆半島における全磁力観測では,ゆっくりすべり変動や,群発地震活動や隆起沈降などに代表される地域の地殻活動度に対応がある全磁力変動を捉えることが出来た.また,奥野における高比抵抗化は,1990年代の当地域の地殻変動に水が関与していた可能性をあらためて示唆するものである.

 全磁力,自然電位,比抵抗などのそれぞれの連続観測において安定してデータが得られるようになり,それぞれの項目で,明瞭に地殻変動に対応した変動を捉えることが出来た.しかし,その変動の物理メカニズムは,未だ完全に理解されているわけではない.それは,同じ現象を,電磁気,地震,測地学的観測で同時に捉えたものの例が少ないことによる.今後,そうした総合的なデータの取得および解釈が必要となろう.また,全磁力変化では,それがピエゾ磁気効果によって応力変動をみているとすると,従来実験室で決定されてきた応力磁気係数から予測される変動よりはるかに振幅が大きい.このため,応力磁気係数を再検討すると共に,ほかの物理メカニズムが存在しないかを検討していく必要がある.

 

2-4-2.測地観測

(東京大学地震研究所〔課題番号:0106〕,国土地理院,宇宙開発事業団,名古屋大学,静岡大学,東北大学,気象研究所,北海道大学との共同研究)

測地観測では,以下の2つの大目標を設定して,観測研究を行ってきた.

目標1: 群発地震の全期間にわたって高精度測地技術(絶対重力測定・人工衛星合成開口レーダ)を統合運用し,地震発生と流体移動の関連を解明する.

目標2: 東海地域などの海溝型巨大地震発生域における,インターサイスミックな重力時空間変動の追跡.とくにハイブリッド重力観測網の構築によって,地震発生準備過程における物質移動の解明.

11年度実施状況:御前崎ー掛川に設置されている国土地理院GPS精密比高観測点を含む東海地方に,高精度ハイブリッド重力測定(絶対重力測定と相対重力測定の統合観測)網を構築し,観測を開始した.伊豆諸島の神津島にも同様の重力測定網を構築した.

12年度実施状況2000年7月‐8月の伊豆諸島の群発地震活動と三宅島火山活動との関連を調査するために,三宅島において,ハイブリッド重力観測を2000年7月に3回,8月から2001年3月まで毎月1回という高頻度で繰返した.あわせて,神津島での相対重力観測を2000年9月におこなった.特に,全島停電の2000年9月から4月までの時期にも測定を繰返した.

13年度実施状況三宅島において,ハイブリッド重力観測を平成13年度も約2ヶ月ごとに6回実施した.また,同島で絶対重力の連日観測を20017月から開始したことが,新機軸として挙げられる.世界的に見ても初めての試みである.御前崎でのハイブリッド重力観測も継続した.

14年度実施状況東海地方でのハイブリッド重力観測を継続した.東海地方の絶対重力観測網を拡充するために,富士山周辺に3点の絶対重力点を新設した.この絶対重力点を基準とする,相対重力測定点30点も同時に設置した.伊豆諸島・三宅島での重力連続観測を継続し,2002年5月,9月に相対重力測定を実施した.

15年度実施状況;東海地方でのハイブリッド重力観測を継続した.東海地方の絶対重力観測網を拡充するために,富士山頂での絶対重力測定を実施した.9月26日の十勝沖地震を受けてえりも地域,道東地域においてハイブリッド重力観測を実施した.インターサイスミックの期間,海溝ではプレートが定常的に沈み込むことによってもたらされる重力変化を見積もる手法をバックスリップモデルに基づいて開発し,十勝沖地震の解析に応用した.同じモデルを東海地方にも適用し,同地域で継続された絶対重力の時間変化を解析した.

これらの観測を実施してきた結果,以下の2項目の成果が得られた.

成果1: 最大の成果は,群発地震時に流体移動と亀裂生成との間に,正のフィードバックがはたらいていることを強く示唆する観測結果を得たことである.これは,三宅島・神津島におけるハイブリッド重力測定(絶対重力測定と相対重力測定の統合観測)を通じて得られた観測事実に基づいている.三宅島山頂カルデラが陥没している以上,三宅島のマグマはどこかに流出していなければならない.その流出先の水平距離・深度は,重力変化データによって,強く拘束され,三宅島から概ね水平距離15km以遠の領域にほぼ絞られる.ちょうど,神津島周辺の群発地震域と重なるので,そこへマグマが吸い出されていったと考えるときわめて自然である(図9).これは,クラックの生成によって,その先端に生じた真空域が吸引源となっていると考えれば良い.マグマが水平方向に吸引されると,クラック先端では実効封圧が下がり,ますますクラックが成長し,真空領域も増殖する.このような正のフィードバックがはたらいて群発地震がおきるという可能性を示すことができた.地下水や熱水などの流体が岩石中の無数の微細な隙間に浸入すると岩石の強度が減少することは,小さな岩石試料についての実験により明らかにされている.このような流体の移動が現実の巨大な地球の内部での地震発生においても重要な役割を果たしてことを,2000年伊豆諸島群発地震時におけるハイブリッド重力観測によって,実証したという重要な意味をもつ.

成果2: 5ヶ年にわたる御前崎での絶対重力観測の結果,沈降量(5年で35mm程度)から期待される重力変化(5年で7マイクロガルの重力増)が生じていないという事実を見出した(図10).バックスリップモデルに基づいて,海溝においてプレートが定常的に沈み込むことによってもたらされる上下変化を見積もったところ,これは適切なアスペリティ分布を仮定すると,観測が説明できることがわかった.このように,東海地域におけるハイブリッド重力観測結果とモデルとが直接比較できるようになったことは,プレート境界域で進行する歪みの監視という意味にとどまらず,沈み込むスラブ上のアスペリティ分布に拘束を与えることができることを示した

最初に掲げた2つの目標に対する今後の展望を列記する.

目標1: 絶対重力測定を用いた,地震発生と流体移動の関連については,当初目標への到達は間近である.一方,人工衛星合成開口レーダーについては,H2Aロケット失敗の影響等もあり,出遅れている.今後はIPTA(強い散乱を返す地上物体を利用した,差分干渉SARの技法)を使用するなどして,2004年打ち上げの衛星ALOSのSARデータ等の解析をすすめれば,さらに研究が進展すると期待される.

目標2: 海溝型巨大地震発生域における,インターサイスミックな重力時空間変動の追跡は,東海地域においてある程度の実績をつんだと評価.今後は,北海道〜九州までの海溝沿いの主要地域においても,同様のハイブリッド重力網を構築して,繰返し観測を続けることが望まれる.固着強度やアスペリティの分布様式の違いまで考慮したモデル計算ができるようになったので,それを観測と比較する意味は大きいと考える.

 

2-5. すべり破壊核形成過程のモニタリング手法の開発

(横浜市立大学〔課題番号:0109〕(課題提出は東京大学地震研究所))

室内実験において,断層が最終破断に至る応力増加のすべての段階において,断層を透過する波動の変化を観測することにより,断層の状態変化の把握とすべり予測を行う試みを続けてきた.せん断応力載荷の初期の段階から,透過波動の振幅に著しい増加がみられたが,これはD.Taborの提唱するjunction growth のメカニズムで定量的にも説明されることが分かった.また,動的すべりの直前過程では,この振幅の増加率は減少することも明らかとなった.

 これらの成果の上にたち,同様の手法を,ガウジを挟んだ断層面に適用するための実験装置を設計・構築した(図11(a)).装置は小型のせん断装置であり,二枚のプレート(UB,LB)の間にガウジを挟み,上盤(UB)にリニアモーター(LM)を駆動源とする板バネ(LS)を介してせん断力を加えながら,これに弾性波を照射し,この変化を観測した.垂直加重は最大100N,上盤の変位速度は0.05ミクロン/sから2mm/s,である.上盤の動きを正確に観測するため,垂直方向3箇所(VD1, 2, 3),水平方向2箇所(HD2,3)に変位計を設置した.これにより,載荷によって変化すると考えられる上盤の3次元的な挙動を捉えることができる.図11(b)に断層の水平変位と,断層を垂直に横断した波動の振幅変化を示す.せん断応力の載荷の初期の段階から振幅に増加が見られ,動的破壊の直前にこれが減少するという傾向は同様である.今後,ガウジの種類,粒径,載荷速度,などのパラメータを変え,さらに詳しい実験を行う必要がある.

 

2-6.砂山くずしの実験的研究

(横浜市立大学〔課題番号:0109〕(課題提出は東京大学地震研究所))

地震は予知が出来ないとする論拠の一つに,地震はGutenberg-Richter則にしたがう自己組織化臨界現象(Self-organized criticality, SOC)であるからである,というものがある.確かにSOCであれば地震はランダムに生起し,予測は不可能であろう.しかしながら,SOC的な振る舞いは巨大地震を含むすべての地震にあてはまるかどうかは疑問である.事実,海溝沿いの巨大地震などは,ある程度の周期をもって,同じ規模の地震が同じ場所で繰り返し起きてきた(固有地震)ように見える場合が少なくない.小さな地震と,大きな地震の間には,その起こり方(規模別頻度分布,周期性など)に不連続性があるように思われる.

実際の砂を使った砂山崩しの実験にはこれに酷似した不連続性が認められる.まずこれを実験によって確かめた.砂山崩しの実験では,この不連続性は砂の粒径と砂を受けるディスクの径の比のみによって決まる(図12).さらにセルラーオートマトンモデルによる数値実験を行い,砂を使った実験で見られた不連続性は再現されないことを確認した.このことは,固有地震的な振る舞いへの変化には,砂山内部の応力鎖などにおける複雑なメカニズムが潜んでいることを示唆するものである.このメカニズムを解明することは,固有地震の発生メカニズムの理解への一助となり,地震予知への手がかりが与えられることが期待されるだけでなく,断層の成熟度に関する理解が深まることとなろう.今後の課題である.

 

3.まとめ

 

 破壊核成長モデルに基づいて考えると,地震発生準備課程の最終段階とは,テクトニックなローディングがこれ以上進行しなくとも,応力の再配分を伴って破壊核が不安定に成長を開始し,大地震の発生に至るまでの段階と考えることが出来る.この段階における破壊核の成長を記述するためには,高速すべりでも破綻しない構成則を確立する必要がある.また,実際に地震が発生している場における温度・圧力条件下で,構成則の間隙圧依存性,すべり速度依存性などを明らかにしていく必要がある.この点に関しては,基本的には本5ヵ年計画での研究によって,現実的な条件下で構成則パラメータを温度・圧力の経験的関数で記述することに成功し,湿潤状態における現象の記述も行った.ここで明らかになった破壊強度や安定性の温度依存性の物理メカニズムを探るための実験的研究から,構成鉱物の変形過程に立ち入った議論が可能となった.また,過去の震源断層帯周辺の岩石を用い,震源域の条件下でその水理特性とせんだん破壊過程の性質を実験的に明らかにすることにより,スラブの沈み込みに伴う水理学的,力学的過程のモデルを打ち立て,現実に起こっている様々な現象の物理的解釈を行った.一方,震源環境下における摩擦強度回復過程を推定するための実験的研究から,200度程度の低温でも,室温型に比べて臨界時間が数桁長い溶解輸送型強度回復が起こることが示され,その素過程を考察することにより臨界時間の温度依存性や強度回復の大きさの定量的モデリングに成功した.また,大試料を用いて,複数のアスペリティの相互作用を明らかにする実験を行い,簡単なブロック−バネモデルを用いてその実験結果の理論的考察を行った.その結果,一見多様に見えるすべりモードが摩擦パラメータによって規定され,パラメータ空間内で棲み分けていることが明らかとなった.従って,今後現実の地震発生(地殻変動)過程を明らかにするために,地下の摩擦構成則パラメータ分布を推定する必要があり,それが弾性波速度など観測可能な物理量からいかに抽出されるべきかを探求する研究がますます重要な意味をもつことになろう.

南アフリカ金鉱山の研究グループは,室内実験と現実の大地震とをつなぐスケールの観測研究として,金鉱山において地震予知の半制御実験を実施してきた.地震波形データやb値の時空間分布から応力状態の時空間分布の推定が試みられ,M2の地震発生直前に震源域において既に応力緩和が始まっていた可能性が示唆された.2002年においては,観測系から至近距離でM3を含む地震群が発生し,それに伴って顕著な余効変動をとらえることに成功したが,機器のトラブルにより地震発生時直前直後の変動をとらえることは出来なかった.この経験をもとに,新たに2鉱山で冗長性の高い観測システムを構築し,今後のM3クラスの地震の発生に備えた.一方,震源距離約100mM2.5(暫定)の地震に伴っては,コサイスミックな変動を含め,地震前後の歪変化が初めて完全に捉えられた.

伊豆半島,伊豆諸島域や東海地域,北海道地域で,地震発生に関与する流体の存在を捉えるための比抵抗構造観測を行い,流体の移動や応力の変化を定量的に補足することを狙う電磁気・測地観測を継続してきた.三宅島2000年噴火および周辺海域での群発地震活動に伴っては,電磁気・測地観測ともに,流体の移動を示唆する時系列の取得に成功した.伊豆半島の特定の観測点においてこれまで急激に減少してきた全磁力が最近ではその減少傾向が鈍ってきている.このことは,明確に最近の群発地震活動静穏化と関連していると思われる.また,東海地方の絶対重力観測にみられた沈降に見合う重力増加が測定されないパラドクスや,全磁力観測にみられた全磁力変化と広域地殻活動との対応など,興味深い時系列が得られつつある.北海道では従来の電磁気観測に加え,FM電波伝播異常をとらえる観測を開始した.一方で,室内実験や理論的研究により,界面動電効果によって破壊前に電流が発生することや,AEに伴って発生する高周波電磁場変動が湿潤状態においても乾燥状態と同様に検出可能であることを実証した.

 破壊核の検出には受動的な観測だけではなく,能動的観測も重要であると考えられる.人工震源から弾性波を放射し断層を透過する波動の強度・波形変化から破壊核形成を検出する手法が開発され,その理論的根拠の考察も行われた.また,さらに現実的なガウジをはさんだ模擬断層における実験を可能にすべく機器開発がなされ,実験を開始した.

 「地震は本質的に予測可能であるか」という大問題に対しても研究が行われた.一つは2つのブロックモデルの相互作用に対する理論的考察であり,もう一つは砂山崩し現象の実験的研究とその考察であった.ブロック相互作用の研究によって,従来カオス状態であると報告されてきた中にも実は強い規則性がみられ,特に大イベントについては高い確率で予測可能であることが示された.また,瞬間的強度回復という非現実的な仮定を取り除くと,多くのカオス解は周期解に変わることが示された.砂山崩しの実験においては明瞭なスケール依存性が存在し,大スケールではSOCよりも固有地震的に周期性を示すことが示された.現実の大地震において,周期性を持った物理課程に従う可能性を指摘した成果であるが,そのメカニズムは単純なセルラーオートマトンモデルによっては説明できなかった.未だ十分に理解されていない複雑な物理を考慮する必要があり,今後の研究課題である.

 以上のように,直前過程部会の個々の課題について,前計画の成果をもとに,この5年間にさらに研究に進展があったと評価できる.特に,基礎物理過程を明らかにする理論的,室内実験的研究の成果は,今後定量的な地震発生予測を行うためにますます重要性を増すものと思われ,その意味で今年度より始まる新計画で,本部会の研究項目の一部が独立した「素過程研究」として取り上げられるのは妥当な選択であろう.また,観測研究において,地震に至る準備過程・直前過程を本質的に分けることは困難であり,準備・直前過程を併合した「準備直前過程研究」の枠組みで研究を実施すべきである.このように,「直前過程部会」は新計画中では発展的に解消するが,項目が分かれても,フィールド研究と理論的室内実験的研究は互いにフィードバックを掛け合いながら進むべきであり,それらの成果を総合化し,有機的に結び付け,現実の地震発生課程予測に適用していく努力が一層重要になるだろう.

 

参考文献:

Furuya,M., S. Okubo, and others, Mass budget of the magma flow in the 2000 Volcano-seismic activity at Izu-islands, Japan, Earth Planets Space, 55, 7, 375-385, 2003

Furuya,M., S. Okubo, and others, Spatio-Temporal Gravity Changes at Miyakejima Volcano, Japan: Caldera Collapse, Explosive Eruptions and Magma Movement, J. Geophys. Res., 108B4, 2219, 2003

Kato, A., A. Sakaguchi, S. Yoshida, H. Yamaguchi, and Y. Kaneda, Permeability structure around an ancient exhumed subduction-zone fault, Geophys. Res. Lett., 31, L06602, doi:10.1029/2003GL019183, 2004a.

Kato, A., S. Yoshida, M. Ohnaka, and H. Mochizuki, The dependence of constitutive properties on temperature and effective normal stress in seismogenic environments, Pure Appl. Geophys., vol. 161, N.9/10, 2004b.

Kato, A., A. Sakaguchi, H. Yamaguchi, S. Yoshida, and Y. Kaneda, Shear failure properties around an ancient exhumed subduction-zone fault, submitted to J. Struct. Geol., 2004c.

Kato, A., M. Ohnaka, and H. Mochizuki, Constitutive properties for the shear failure of intact granite in seismogenic environments, J. Geophys. Res., 108(B1), 2060, doi:10.1029/2001JB000791, 2003a.

Kato, A., M. Ohnaka, S. Yoshida, and H. Mochizuki, Effect of strain rate on constitutive properties for the shear failure of intact granite in seismogenic environments, Geophys. Res. Lett., 30(21), 2108, doi:10.1029/2003GL018372, 2003b.

Kato, A., A. Sakaguchi, S. Yoshida, H. Mochizuki, and Y. Kaneda, Permeability measurements and precipitation sealing of basalt in the ancient exhumed fault in subduction zone, Bull. Earthq. Res, Inst., Univ. Tokyo, vol 78, No 1, 83 – 89, 2003c.

加藤愛太郎・ 大中康誉,岩石破壊過程の安定・不安定性に及ぼす水の役割, 地学雑誌, vol 109, No 4, p554-563, 2000.

小山茂,上嶋誠,石川良宣,伊豆における全磁力の年周変化の検証,震研技術報告, 8, 114-116, 2002.

Nakatani, M. and Scholz, C. H., Frictional healing of quartz gouge under hydrothermal conditions 1: Experimental evidence for solution-transfer healing mechanism, J. Geophys. Res. in press, 2004a.

Nakatani, M. and Scholz, C.H., Frictional healing of quartz gouge under hydrothermal conditions 2: Quantitative interpretation with a physical model, J. Geophys. Res. in press, 2004b.  

Nagai, N., M. Ando, H. Ogasawara, T. Ohkura, Y. Iio, A. Cho The research group for Semi-controlled earthquake-generation experiments in South African deep gold mines, Location and temporal variations of shear wave splitting in a South African gold mine, Seismogenic Process Monitoring, 185-198, Balkema, Rotterdam , 2002.

Ogasawara, H., S. Sato, S. Nishii, H. Ishii, Y. Iio, S. Nakao, M. Ando, N. Nagai, T. Ohkura, A. Cichowicz, H. Kawakata, K. Kusunose, T. Satoh, A. Cho, N. Sumitomo, R. W. E. Green, M. O. Kataka, Semi-controlled seismogenic experiments in South African deep gold mines, In Rockbursts and Seismicity in Mines - RaSim5 (G. van Aswegen et al. eds). South African Institute of Mining and Metallurgy, 293-300, 2001.

Ogasawara, H., S. Sato, S. Nishii,  H. Kawakata,  Temporal variation of seismic parameters associated with an Mw2event monitored at a 100200m distance, Seismogenic Process Monitoring, 173-184, Balkema, Rotterdam , 2002.

Ogasawara, H., Review of semi-controlled earthquake-generation experiments in South African deep gold mines (1992-2001), Seismogenic Process Monitoring, 120-150, Balkema, Rotterdam , 2002.

Ogasawara, H., T. Miwa,  Microearthquake scaling relationship using near-source, redundant, wide-dynamic-range accelerograms in a South African deep gold mine, Seismogenic Process Monitoring,151-164, Balkema, Rotterdam , 2002.

Oshiman, N., Sasai, Y., Honkura, Y., Ishikawa, Y. and Koyama, S., Long-term geomagnetic changes observed in association with earthquake swarm activities in the Izu Peninsula, Japan., Ann. Geofis., 44, 261-272, 2001.

Okubo, S., W. Sun, T. Yoshino, T. Kondo, J. Amagai, H. Kiuchi, Y. Koyama, R. Ichikawa, and M. Sekido, Far-field deformation due to volcanic activity and earthquake swarm, International Association of Geodesy Symposia, 125, 518-521, 2002.

Sasai, Y., Tectonomagnetic modeling based on the piezomagnetism: a review, Ann. Geofis., 44, 361-368, 2001.

Sasai, Y., Uyeshima, M., Zlotnicki, J., Utada, H., Kagiyama, T., Hashimoto, T. and Takahashi, Y., Magnetic and electric field observations during the 2000 activity of Miyake-jima volcano, Central Japan, Earth Planet. Sci. Lett., 203, 769-777, 2002.

Satoh, T., Near source observation of small initial phase generated by earthquakes in a deep gold mine in South Africa, Seismogenic Process Monitoring, 165-171, Balkema, Rotterdam , 2002.

Sun, W. and S. Okubo, Effects of the Earths curvature and Radial heterogeneity in Dislocation Studies - for a point dislocation, Geophys. Res. Lett., 29, 12, 46-1-46-4, 2002.

八ヶ岳地球電磁気観測所・地震予知研究推進センター,東海地方における全磁力観測(19961月〜20014月),連絡会報,66345-347, 2001

Yoshida, S. and T. Ogawa, Electromagnetic emissions from dry and wet granite associated with acoustic emissions, J. Geophys. Res., in press, 2004.

Yoshida, S., A. Kato, N.Kato, M.Nakatani, Interpretation of various slip modes on a plate boundary based on laboratory and numerical experiments, submitted to Earth and Planetary Space, 2004.

Yoshida, S. and N. Kato, Episodic aseismic slip in a two-degree-of-freedom block model, Geophys. Res. Lett., 30, 1681, doi:10.1029/2003GL017439, 2003.

Yoshida, S., Convection current generated prior to rupture in saturated rocks, J. Geophys. Res., 106, B2, 2103-2120, 2001.

Yoshida, S., and A. Kato, Single and double asperity failures in a large-scale biaxial experiment, Geophys. Res. Lett., 28, 3, 451-454, 2001.

吉田真吾,地震発生の素過程,月刊地球,25, 10, 759-766, 2003.

吉岡直人,砂山崩しの実験—SOCと固有地震,地震ジャーナル,36-41, 2003.

Yoshioka,N., A sandpile experiment and its implications for self-organized criticality and characteristic earthquake, Earth Planets Space, 55, 283-289, 2003.

Zlotnicki J, Sasai Y, Yvetot P, Nishida Y, Uyeshima M, Fauquet F, Utada H, Takahashi Y, Donnadieu G, Resistivity and self-potential changes associated with volcanic activity: The July 8, 2000 Miyake-jima eruption (Japan), Earth Planet. Sci. Lett., 205, 139-154, 2003.

 

学会発表:

松本滋夫・大久保修平ほか,富士山頂における絶対重力測定(1),日本測地学会100回大会講演予稿集

Kato, A., A. Sakaguchi, S. Yoshida, and Y. Kaneda, Permeability and strength structure around an ancient exhumed subduction-zone fault, Eos Trans. AGU, 84(46), Fall Meet. Suppl., Abstract T52C-0277, 2003.

Ogasawara, H., Y. Iio, The Research Group FOR SEESADGM, semi-controlled earthquake-generation experiments in South African deep gold mines , (2002 - 2006),  IUGG2003, 1730 SS02/02P/A03-014, 2003.

Ogasawara, H., Y. Iio, M. Nakatani, J. Takeuchi, N. Shimoda, H. Ishii, T. Yamauchi, T. Satoh, H. Kawakata, A. Kato, A. K. Ward, S. K. Murphy, R. McGill, A. Mendecki, G. van. Aswegen, R. Seesag, An attempt to directly monitor stress buildup and triggered earthquakes within one fault distance in South African deep gold mines, AGU fall meeting, S41C-0102, 2003.

大久保修平ほか,富士山頂における絶対重力測定(2),日本測地学会100回大会講演予稿集

Okubo, S., J. Okuno and Y. Tanaka, VISCOELASTIC DEFORMATIONS DURING A SEISMIC CYCLE AND OVER CYCLES AROUND A SUBDUCTION ZONE – SIMULATION FOR A REALISTIC SNRVEI EARTH, IUGG General Assembly, Sapporo, 2003.

Yamada, T., J. Mori, H. Ogasawara, Y. Iio, H. Kawakata, S. Ide, R. Seesag, Determination of Fault Planes and Rupture Velocities of Small Earthquakes in a South African Gold Mine : Constraints on Radiation Efficiency, AGU fall meeting, S42C-0177, 2003.

Yoshioka, N., A trial to detect nucleation processes by transmission waves across a fault that contains fault gouge, SS02/04A/D-060, IUGG2003, Sapporo, Japan.

 

著書:

吉田真吾,実験室で地震を探る,菊地正幸編「地殻ダイナミクスと地震発生」,140-162,  朝倉書店,2002.

 

図の説明(PDF)