地震予知研究協議会企画部準備会 (第2回) 議事録

 

日時:1999年6月30日 (水) 13:30〜17:30

場所:東京大学地震研究所 第3会議室

出席者:平田 直 (委員長)、本谷 義信、松澤 暢、岩崎 貴哉、菊地 正幸、

              山岡 耕春、梅田 康弘 (以上委員)

 

議事:

 

1. 報告:

 

平田委員長より下記の報告があった。

 

a) 企画部人事公募

6月中旬に、企画部の人事公募が行なわれた。地震研究所の助教授1名で、3年程度、企画部の仕事に専念する義務がある。応募の際に地震予知に対する展望を述べてもらうという条件を付けた。締め切りは8月末日である。

 

b) 企画部準備会への震研のサポート体制

企画部準備会室を地震研究所の3階の 325号室が確保された。いずれ、平田委員長がそこに常駐することになる。企画部準備会の非常勤事務補助員 (週30時間) を雇用することが震研の教授会で承認され、現在人選中である。

 

2. 前回議事録確認

 

前回議事録の案 ([kikakuHQ:33]) が議論され、後に述べる名称・役割りの変更が行なわれるという前提付きで承認された。

 

3. 名称・役割りの変更

 

企画部準備会と計画推進部会に関する名称と役割りについて、下記のように変更したいとの平田委員長の提案があり、議論の結果、これを承認した。

 

a) 企画部準備会のメンバーは、「企画部準備会委員」と呼び、その長を「企画部準備会委員長」と呼ぶことにする。

 

b) 計画推進部会も現時点では「準備会」と位置づけ、部会長ではなく、共同世話役 (co-chairperson) を2人置き、企画部準備会の委員 (委員長を除く) が必ず共同世話役のうちの1人となるようにする。また、元々の案にあった「研究」の2文字をとり、名称を「計画推進部会準備会」で統一し、その構成

メンバーの名称は「計画推進部会準備会委員」とする。個々の名称と共同世話役は下記のとおりとする。

 

 


             名称                                   共同世話役

------------------------------------------------------------------------

イ:「定常的な広域地殻活動」計画推進部会準備会   長谷川昭、岩崎貴哉

ロ:「準備過程における地殻活動」計画推進部会準備会 梅田康弘、松澤暢

ハ:「直前過程における地殻活動」計画推進部会準備会 吉田真吾、本谷義信

ニ:「震源過程と強震動」計画推進部会準備会     武尾実、菊地正幸

ホ:「地殻活動監視システム」計画推進部会準備会   鷹野澄、清水洋

ヘ:「地殻活動シミュレーション」計画推進部会準備会 松浦充宏、加藤照之

ト:「観測技術開発」計画推進部会準備会       金沢敏彦、山岡耕春

 

 

4. yoti-kenkyu への連絡

 

yoti-kenkyu への連絡の案 ([kikakuHQ:33]) について議論がなされ、混乱がないよう、上記の名称・役割りの変更を行ない、また、構成についても説明を追加して、松澤委員が「メモ」として yoti-kenkyu に連絡するということが了承された。

 

5. 計画推進部会準備会の構成

 

上記の共同世話役の再編成を受けて、計画推進部会準備会の構成メンバーについて議論が行なわれた。その際、

a) 計画推進部会準備会委員に国立大以外の人に入ってもらってよいのか。

b) 計画推進部会準備会および企画部準備会で作り上げる計画については、どの程度の範囲の機関にまで強制力があるのか。

c) 地震予知の事業費が配分されている機関以外の人が計画に参加するには、どのような道があるのか。

d) これらの計画をどのように広報していくのか。

という問題提起が各委員よりなされた。議論の結果、以下のように確認された。

 

a) 計画推進部会準備会委員には、国立大以外の人になってもらって良い。むしろ、広く議論を起こすために歓迎する。

b) すでに「地震調査研究推進本部」の体制ができているため、企画部準備会および計画推進部会準備会で作りあげる計画が強制力を持つのは、国立大までとなる。

c) 私大や科技庁等の人であっても、震研の共同利用により、計画に参加することは可能。ただし、その額は今ところそれほど多くない。

   (配布資料:平成11年度共同利用経費配分)

d) 正式な広報を行なっていくには、協議会の了承が必要となるが、当面は、計画推進部会準備会で、広く人材を集め、広範な意見を集約していくことが重要である。

 

これらの議論を受け、計画推進部会準備会の委員、およびその候補者について、今のところ下記のような構成にすることで合意が得られた。○印は世話役であり、括弧内は候補者で、これから本人の承諾を得ることが必要となる。

 


イ:「定常的な広域地殻活動」計画推進部会準備会   

              ○長谷川昭、○岩崎貴哉、島崎、笠原 (順)、佐藤 (比)、[清水、伊藤 (潔)、森谷]

ロ:「準備過程における地殻活動」計画推進部会準備会

              ○梅田、○松澤、笠原 (稔)、大志万、川崎

ハ:「直前過程における地殻活動」計画推進部会準備会

              ○吉田真吾、○本谷、大久保 (修)、[長尾、吉岡 (直)]

ニ:「震源過程と強震動」計画推進部会準備会

              ○武尾、○菊地、[モリ、泉谷]

ホ:「地殻活動監視システム」計画推進部会準備会

              ○鷹野、○清水、[渡辺 (邦) または大見、西出、笠原 (敬) または小原、鷺谷]

    (注:これについては、後述のとおり、協議会の「観測データ流通専門委員会」の後継も兼ねる可能性が高いため、今後も委員の検討を継続することとした)

ヘ:「地殻活動シミュレーション」計画推進部会準備会

              ○松浦、○加藤 (照)、橋本、堀 (宗)、金田 (義)、[平原、鷺谷]

ト:「観測技術開発」計画推進部会準備会

              ○金沢、○山岡、日野、石井、東原、山内、安藤

 

 

6. 平成11年度の実施計画

 

平田委員長より、平成11年度の地震予知事業費の配分額資料 (部外秘) が配布され下記の説明がなされた。

 

この資料には、事業費のみが記載されており、特別設備費は含まれていない。

事業費の個々の配分は異なるが、総額は第7次の計画とほぼ同額である。節約や事務への配分があるので、実質的にはこの8割くらいが使える額となる。また、施設経費や特殊装置維持費も含めると、実際には、この約10倍の規模となる。なお、震研の予算には、共同利用される経費 (用船費・爆破観測用の火薬費・トレンチ調査費等) が含まれており、これが震研予算の約半分を占めている。

 

これらの各大学に配分された予算を参考にしながら、平成11年度の実施計画を練り上げていかなければならない。次回の協議会が8月26日に予定されているので、それまでに企画部の推奨案を作る必要がある。

 

この背景を踏まえ、各計画推進部会準備会での計画 (案) についての説明が、それぞれの世話役 (欠席の場合は平田委員長) よりなされた。

 

イ:「定常的な広域地殻活動」計画推進部会準備会  (岩崎委員)

 

配布資料:"定常的な広域地殻活動" として推進すべき研究項目

 

各大学から提案されている計画には、全国の大学が共同して行なう島弧スケールの大規模研究と、個々の大学またはいくつかの大学グループで行なう regional な研究の2種類がある。ここでは、島弧スケールの大規模研究を「核」として、regional な研究をこの「核」の中に組みこむことを考えた。ただし、企画部としてこの方針を推奨はすべきだが強制は困難だと考えられる。また、個別の研究を排除するつもりはない。なお、この計画には、「準備過程」の計画との綿密なすりあわせが必要である。

 

ロ:「準備過程における地殻活動」計画推進部会準備会 (松澤委員)

 

配布資料:「準備過程における地殻活動」研究計画 (99.6.30案)

 

建議の4項目を整理し、「プレート間カップリングの時間変化の解明」、「地震多発域へのローディング機構の解明」、「断層およびその周辺の微細構造と地殻流体の挙動の解明」の3本の柱を立てて各大学の計画を分類・整理した。

現在判明している問題点としては、(a) 重要と考えられる日向灘と房総沖について、どの大学もテストフィールドとしていない、(b) テストフィールドが多すぎて、全体を5年で行なうことは不可能、(c) 準備過程を調べる上で欠かせない地殻応力連続測定・海底地殻変動観測・深部比抵抗連続測定の技術がいずれも確立されていない、等があげられる。なお、「準備過程」は他の計画とのリンクが最も多いと考えられるので、その調整が重要である。

 

ハ:「直前過程における地殻活動」計画推進部会準備会 (本谷委員)

 

世話役を委嘱されたばかりのため、資料は用意していないが、早急に計画をとりまとめたい。「直前過程」の提案は少ないものの、それぞれのアプローチがかなり異なるため、まとまった推奨案を出すことは困難かもしれない。

 

ニ:「震源過程と強震動」計画推進部会準備会 (菊地委員)

 

基本的に、建議に従い、2本の柱を立てたいと考えている。一つは「アスペリティの分布の把握」であり、もう一つは「強震動を作り出す地下構造の把握」である。前者については、古い記録の再評価やバックスリップとの対応関係の検証も重要であると考えている。後者については、地盤だけではなく、震源から地表までのトータルの評価が重要であると考えている。これが実現できれば、観測波形から震源過程を精度良く推定することにも役立つ。最終的には、予想される震源モデルを置いた時の強震動の予測シミュレーションまで実現したい。

 

ホ:「地殻活動監視システム」計画推進部会準備会  (平田委員長)

 

前回の会議で述べたように、大学としては、「データ流通」が最も重要なテーマとなる。また、協議会の意向として、将来的には現在の「観測データ流通専門委員会」の後継としても、この計画推進部会を位置づけたいという話が出ており、そのためには大学だけでなく気象庁、防災科研、地理院の人にも委員になってもらう必要がある。

 

ヘ:「地殻活動シミュレーション」計画推進部会準備会  (平田委員長)

 

配布資料:「地殻活動シミュレーション」研究部会準備会発足のお知らせ

  地殻活動シミュレーション研究部会 (震研の概算要求資料)

 

これについては、「地球シミュレータ」計画等、他のプロジェクトも走っており、予算的にはそれほど問題にならないと考えられる。むしろこれらの他の研究プロジェクトに対する地震予知事業としてのシミュレーションの位置づけをよく検討する必要がある。なお、最初の計画推進部会準備会の会議開催を7月16日に予定している。

 

ト:「観測技術開発」計画推進部会準備会 (山岡委員)

 

配布資料:企画部準備会「観測技術開発」研究部会

 

提出された「観測技術開発」の計画は、それほど数多くないので、各機関の「観測技術開発」計画提案者に計画推進部会準備会委員となってもらい、メーリングリストを作って情報収集・議論を行なっている。観測技術開発はともすれば自己目的化しやすいので、ある時点で進行状況 (精度や安定性の向上度) をチェックする必要があると考えている。また、最終目標スペックが必ずしも明確ではないので、まず、これを明らかにしていくことが重要である。なお、建議に述べられている宇宙技術利用の高度化やボアホールによる電場・磁場・比抵抗計測システムの高度化、高感度He3連続測定装置の開発等については今後検討していきたい。

 

 

7. 平成11年度実施計画の各機関へのアンケート

 

平成11年度について参照できる資料は概算要求時のものしかなく、この中には予算の配当がなくて実現できなくなった計画も存在すると考えられる。また、地震予知事業以外で関連する計画がかなり走っているが、必ずしも全体像の把握はできていない。このため、平成11年度の実施計画について現時点での情報を収集することが提起され、その情報収集方法について議論がなされた。

 

その結果、各機関について、平成11年度の実施計画についてメールとFAXでアンケートをとることになった。時間も限られているので、A4用紙1枚程度の簡略なものにし、平田委員長が原案を作り、メールで議論の後、7月2日に配布することとした。IUGG の前にとりまとめるために、締切りは 7月8日とすることにした。

 

 

8. 今後の予定

 

8月26日に協議会が開催されるため、その前の 8月17日 13:30 より企画部準備会の第3回の会議を開くことにした。その前までに、各計画推進部会準備会をなるべく1回は開催することとした。事業費が配分されていない機関に所属する計画推進部会準備会委員については旅費が震研から支給されるが、そのためには事前に登録をしておいたほうが事務手続きがスムーズにいくため、委員が確定次第、メールで連絡することとした。