3.2.6 地震先行現象の研究

(a) 各種前兆現象による地震発生予測のパフォーマンス評価

これまでに査読付き論文で大きな地震(M>6)の前兆であると主張された現象で,当該の現象があった場合は,平時に比べて地震の発生確率が有意に高いということが統計的に示されているものを10件程度とりあげ,それらの成績(予知率,適中率,警報分率,ゲイン)を文献情報から逆算してまとめた.ETASによるトリガリング作用(これは大地震の準備過程進行の顕れという意味での物理的な前兆ではない)を考慮するだけで,数百倍のゲインをもつ短期的な予測ができるが,さらに,ETASでは説明できない特徴(多分物理的な前兆と解される)に目をつけた方法では,ゲイン1万倍を超えるような予測手法も報告されている.日本のM7地震の平均発生ペースからすると,ゲイン1万倍の予報は,1日あたりのM7地震発生確率として数%という強い予報である.