3.12.5 日本列島の地震活動を予測するモデルの作成(CSEP-Japan)

 地震カタログデータに基づく確率論的な予測を行うために,すでに先行して同種の研究CSEP (Collaboratory for the Study of Earthquake Predictability)を世界規模で実施しているSCEC (Southern California Earthquake Center) と連携を図り,2008年にCSEP日本テストセンターを立ち上げ,日本における地震発生予測検証実験を実施している.テスト領域として日本周辺,内陸日本および関東地域,テスト期間として1日,3ヶ月,1年および3年毎の合計12のテストのクラスが実現され,提案されている地震予測モデルは160を超え, CSEPに参加している研究機関の中でも最多である.

 2017年度においては、2016年4月に発生した熊本地震に関して,定常および非定常ETASモデルによる地震活動の背景変動率を調査し,熊本地震発生前の中九州地域においては布田川断層帯北側のごく狭い領域で東北沖地震による誘発群発地震などの異常活動などが明らかになった.またM6.5から続く前震期間ではETASモデルによる変化点解析によりM6.4直後からの静穏化が有意であった.狭義および広義余震活動の背景変動率は何れも正であり,その後順次減少している(図3.12.5).