3.5.17 断層帯深部形状の評価に関する活断層調査研究

 活断層から発生する地震像を推定する上で,震源断層の地下形状を正確に理解することは本質的に重要である.一方,地表付近で観察される断層の形状は,既存の弱面の存在や堆積層の物性,断層近傍の応力場の変化などの条件に支配されて,深部にかけて複雑に変化する可能性があり,断層の深部から地表付近(変動地形)までの構造と断層すべりを統一的に説明することが必要である.このような問題意識を念頭に,断層帯深部形状を推定する手法の確立を目的として,地球物理学的および変動地形学・地質学的な調査研究観測を実施し,重要な事例について活断層-震源断層システムの形状を具体的に明らかにすること,また,本課題の調査観測研究で得られたケーススタディでの知見を活用するとともに,地質・変動地形や重力・地震波トモグラフィ・微小地震活動などの地球物理学的データ及び既往研究を利活用した日本列島の活断層-震源断層システムの構造的な特徴の抽出,日本列島の活断層-震源断層システム形状推定・評価手法と詳細な検討と今後の課題について取り纏めを行う調査研究を,平成29年度から3ヶ年の期間で開始した.2018年は,中央構造線活断層系(四国地域)について,高分解能反射法地震探査(3測線)を実施し,地下構造の推定に資する観測データを取得した.