3.5.18 歴史地震に関する研究

 2017年度より地震研究所と史料編纂所との部局間連携機構として「地震火山史料連携研究機構」が設置され,地震予知研究センターからも教員・研究員が参画している.この連携研究機構では,東京大学デジタルアーカイブズ構築事業の一環として「日記史料有感地震データベース」を構築しており,2018年度には試作版を公開した.また,このデータベースと気象庁の震度データベースの有感範囲を比較・検討して,前近代に日本各地で発生した中・小規模の地震について震源決定を試みた.

 全国各地の日記等の史料調査を実施した.また1854伊賀上野地震における京都での対応や和漢年代記の改訂・増補と地震記事の特徴を明らかにした.

 歴史地震研究においてよく用いられる被害の程度から震度への換算表を高度化するため,歴史的建造物の地震被害について調査した.具体的には,2018年6月の大阪府北部の地震や2019年1月の熊本県熊本地方の地震において現地調査を実施し,歴史的建造物(文化財)の被害と計測震度の分布を比較し,さらに,これらの震度の距離減衰式との対応を検討した.また,翻刻テキストのテキストマイニングや,歴史地名データの活用など,人文情報学分野の知見を歴史地震研究に応用するための基礎的な検討をおこなった.