3.10.4 法線応力に依存するNagata則に基づく地震のトリガーモデル:2016年三重県沖地震への適用

剪断応力依存性を取り入れたNagata 則(Nagata et al. , 2012)に, Linker & Dieterich (1992)が求めた法線応力依存性を組み込んだRSF則に基づき, 2016年4月1日に三重県南東沖で発生した地震(Mjma6.5)によるCFFを計算した.計算にはOpenSWPC (Maeda et al., 2017)をMaedaが応力テンソルも求められるように改良したソフトウェアを用いた.その計算手法では,粘弾性,複雑な地形形状,日本列島全体の不均質速度構造の仮定のもと安定な計算を可能とする最新鋭の数値計算技法が盛り込まれている.動的なCFFd(t)の最大値CFFd_max,および静的なCFFsのプレート境界面上での分布を求めた.CFFd_maxはCFFsの値より大きいが,過渡的なものであるためトリガー効果が大きいわけではない.静的なトリガー効果に焼き直すために,動的応力変動の時間積分,摩擦パラメータ,間隙水圧などを含む関数CFFeqを評価してみると,海溝軸に沿ってCFFeqが大き結果が得られた.この地震後の4月3日から4月18日に海溝軸付近でSSEや超低周波地震のまとまった活動がみられたが,その説明になるかもしれない.