3.1.1 地震発生場の研究

地震の発生に伴う断層運動と地震波放射は,地殻の岩石の密度変動を引き起こし,これにより重力場が変動することが原理的に期待される.この変動は光速で伝搬するため,もし計測装置により検知することができれば,従来の地震波検知を用いた地震計ネットワークによる地震アラートシステムと比較して地震発生の早期検知が可能になることになる.我々は,地震発生後「即時」に生じるこの重力変化の検出において,先行研究において用いられた非因果的な計器補整処理の方法における問題点である「人工的ノイズ混入による信頼性欠如の可能生」を取りあげ検討した.因果律の破れから不可避に加わる人工的信号の振幅を定量的に評価し,報告された即時重力変化信号が人工的なものでなく,ノイズに対して有意な信号レベルを持つことを示した.