3.5.9 2015年ネパール・ゴルカ地震 (Mw 7.8)

 2015年4月25日に発生したネパール・ゴルカ地震(Mw7.8)は,インド-オーストラリアプレートとユーラシアプレートの境界で発生した逆断層型の地震である.ゴルカ地震の震源断層の形状を明らかにすることは,衝突帯のテクトニクスを理解する上で重要である.そこで,2015年以降,トリブバン大学,ネパール科学技術院,山形大学との共同研究を進めている.2019年は,2016年度にゴルカ地震余震域の中央部から東部にかけての地域に設置した69カ所の観測点で取得したデータに地震波トモグラフィー解析を適応し,地殻上部の地震波速度構造と余震分布を得た.得られた余震分布図からは,深さ10-15km付近に,主ヒマラヤ衝上断層(MHT)近傍で発生している考えられる北傾斜の余震分布が確認できる.本震時の滑り分布(Elliott et al., 2016)と比較すると,MHTの深さ15km以深で滑り量が増加している領域は,High Vp, High Vp/Vsの特徴を示す領域と対応している.現在,さらに詳しく解析を進めているところである.