3.5.11 地殻ダイナミクスプロジェクト:超稠密地震観測による内陸地震発生場の特徴

 2000年鳥取県西部地震の震源域における稠密地震観測網(約1000点)で取得した連続波形記録を統合し,約13ヶ月に及ぶデータセットを作成した.この地震波形データを用いて,地震の自動検出を再度実施した.約4000個の地震の走時データを用いて,水平方向に0.5km間隔,鉛直方向に1.0km間隔のグリッド配置を用いて,高分解能な3次元地震波走時トモグラフィー解析を行った.その結果,スケールの異なる複数の共役断層系から構成される複雑な震源分布が見出された.震源域北西部は顕著な低速度を示し,震源域南東部はやや低速度の特徴を示すこともわかった.また,長さ約5kmの局在化した低速度帯が本震の震源断層から西側に約3㎞離れて概ね平行に存在することが判明した.さらに,走向方向に約200m,傾斜方向に約150mの微小地震クラスターの震源再決定を行ったところ,幅約10m以内に集中する面状分布が得られ,推定された発震機構解と調和的な並びを示した.この活動は,断層走向・傾斜方向に約0.03km/日の比較的遅い速度で移動しており,地殻流体の関与が示唆される.